2004 Fiscal Year Annual Research Report
豆乳・牛乳混合系からの共沈カードの形成とそのメカニズム
Project/Area Number |
15700486
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
渡邊 容子 東京都立短期大学, 健康栄養学科, 助手 (00240531)
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Keywords | 豆乳タンパク質 / 牛乳タンパク質 / 乳酸発酵カード / 共沈 / 溶解性 |
Research Abstract |
【目的】豆乳からの大豆チーズでは、カルシウム量が牛乳からのチーズに比べ少なく、また風味に欠ける。これらの点を改良するために、豆乳・牛乳混合系から、大豆タンパクと牛乳タンパクの共沈によるカード形成の可能性を検討してきた結果、乳酸菌スターターによる乳酸発酵により、良質なカードを得ることができた。本年度は、SPI乳、脱フィチンSPI乳等と脱脂乳の混合系からカードを得、各カードの物性、溶解性を調べ、タンパク質共沈の機構を明らかにすることを目的とした。 【方法】大豆素材は、脱脂大豆粉体、β-コングリシニン、SPIおよび脱フィチンSPIを用いた。調製した各大豆素材乳乳と脱脂乳を1:1の割合で混合し、混合乳とした。この混合乳を用いて乳酸発酵によりカードを調製し、物性、フィチン酸、カルシウムなどを測定した。また、緩衝液(PB、pH7.6)、塩化ナトリウム(NaCl)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、2-メルカプトエタノール(2-ME)およびプロピレングリコール(PG)を用いてカードの溶解性について検討を行った。 【結果】調製したカードは、タンパク質収量も高く、また透明なホエーが得られ良好であった。テクスチュロメーターにて各カードの硬さ、弾力性等を測定した結果、SPIカードと脱フィチンSPIカードの問では、各物性値の差は小さく、乳酸発酵カードの形成にフィチン酸の関与が低いことが示唆された。β-コングリシニンカードでは、硬さ、弾力性値が低く、剪断応力の値が高い傾向にあった。カード中のカルシウム含有量については、カード間にほとんど差は認められなかった。溶解度試験では、各カードともNaSCNに対する溶解度が17〜41%と高く、NaClに対しては4.1〜5.6%、PGに対しては、2.2〜3.5%、2-MEに対しては約3%、PBでは0.3〜3.6%と低かった。
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