2003 Fiscal Year Annual Research Report
調理活動の療法的活用法の確立をめざす基礎的研究―痴呆性高齢者を対象とした試み―
Project/Area Number |
15700487
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Research Institution | Kobe Gakuin Women's College |
Principal Investigator |
湯川 夏子 神戸学院女子短期大学, 家政科, 助教授 (40259510)
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Keywords | 調理 / 高齢者 / 痴呆症 / アクティビティ / 料理療法 |
Research Abstract |
【目的】現在、福祉の現場では、調理活動をアクティビティケアとして導入する機運が高まっている。調理活動を介して心身の障害の機能回復・症状の改善や、情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質(QOL)の向上が期待される。本研究では、このような調理活動の療法的活用法の確立をめざす。本年度は、高齢者施設において実施されている調理活動の実施状況を把握し、療法的効果を明らかにすることを目的に調査を実施した。 【方法】調理活動を導入している高齢者施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム)を選定し、調査を行なった。聞き取り調査(施設長および担当者に対して)、および調理活動事例の観察調査を行なった。聞き取り調査の内容は、調理活動の方法、設備、献立内容、療法としての活用の有無、効果等である。 【結果】高齢者施設入居者やデイサービス利用者を対象として調理活動が実施されていた。献立立案や買い物を一緒に実施する例や、回想法や園芸療法を組み合わせた例がみられた。調理活動はこれまで慣れ親しんでいる作業であり、痴呆性高齢者でも、見守り・支援を行えば安全性に問題がなかった。効果としては、1.手先を使うリハビリ効果、2.過去の体験や自分の持てる能力を引き出しやすく、自信の回復や自尊感情の高まりへの寄与、3.共同作業を通じた人とのコミュニケーションの向上、4.役割感、有用感を生じ、自己実現につながる、5.料理をつくって食べる楽しみや人とのコミュニケーションから表情の向上、などがみられた。これらから痴呆症緩和効果も期待される。以上のように調理活動は高齢者に対する有用なアクティビティケアといえる。
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