2003 Fiscal Year Annual Research Report
各種ポリフェノール類と微量栄養素の相互作用に関する栄養生理学的研究
Project/Area Number |
15700490
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五十嵐 香織 独立行政法人理化学研究所, ラジオアイソトープ技術室, 協力研究員 (90360487)
|
Keywords | 微量元素 / ポリフェノール / 吸収 |
Research Abstract |
ポリフェノール類と微量元素、有害金属の代謝における相互作用について検討するため、理研リングサイクロトロンを用いてマルチトレーサーを製造した。ラットにマルチトレーサーおよびポリフェノールとしてタンニン酸2mgを投与し、経時的に解剖して臓器を摘出し、臓器中に含有される放射能をゲルマニウム半導体検出器で測定した。タンニン酸投与群はコントロール群に比べ亜鉛およびルビジウムの臓器への取り込みが低値を示した。マンガン、セレン、ヒ素、コバルトおよびナトリウムの各臓器への取り込みは、タンニン酸による著しい阻害が認められなかった。これらの結果から、タンニン酸は亜鉛、ルビジウムの吸収を阻害する可能性が示唆された。マンガン、セレン、ヒ素、コバルトおよびナトリウムの吸収はタンニン酸の影響を受けにくいことが示唆された。タンニン酸投与群の鉄の取り込みは、コントロール群に比べ顕著な差は認められなかったが、実験に用いたマルチトレーサーに含有される鉄が微量であり検出・解析が困難であったことから、カニュレーション法を用い鉄吸収に及ぼすタンニン酸の影響について検討した。ラツトの頚静脈および胃にカニューレを挿管固定し、それぞれ採血用、および試料投与用とした。術後回復期間を設けた後、ラットに鉄0.5mgおよびタンニン酸2mgを投与して経時的に採血し、血清鉄濃度を測定した。タンニン酸を投与した群は、試料投与4時間半後にコントロール群に比べ血清鉄濃度が有意に低値を示したことから、タンニン酸は鉄の吸収を抑制する傾向が認められた。これらの結果から、タンニン酸は鉄の吸収に影響を及ぼす可能性が示唆された。さらに、カテキンが鉄吸収に及ぼす影響について同様に実験を行った結果、鉄の摂取量が充分であれば緑茶2杯分に含まれる量に相当するカテキンは、鉄の吸収に著しい影響を及ぼさないことが示唆された。
|