2003 Fiscal Year Annual Research Report
文字メディアの教育的利用を通じた読解リテラシー形成に関する研究
Project/Area Number |
15700520
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西森 章子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (50294012)
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Keywords | 読解リテラシー / 文字メディア |
Research Abstract |
本研究の目的は、文字メディア(特に新聞)が教育的に活用される場面を通じ、学習者にどのような読解リテラシーが形成されたかを明らかにすることである。本年度の研究概要は以下の3つより構成される。 (1)読解リテラシーの理論的検討 関連する研究および先行研究をもとに、読解リテラシーと文字メディアとの関連性について、理論的検討をおこなった。具体的には、批判的思考力育成に関する研究、OECD/PISA調査の調査研究報告書、メディア・リテラシーの総括的研究などから検討した。 (2)読解リテラシーの範囲の決定 (1)より、読解リテラシーを構成する力として、文章構造を見抜く力、論評を評価する力、情報発信者の意図を弁別・指摘する力を抽出した。 (3)読解リテラシー形成を評価する方法の開発及び試行 (2)で抽出された力を測定するために、読解リテラシー評価シートの開発をおこなった。評価シートで用いる素材の組み合わせ、および教示の仕方について、担当教師と事前に打ち合わせをおこないながら、シートを用いた授業実践を2クラスで実施した。生徒(中学3年生)による記述を分類するためのカテゴリを作成し、反応レベルを検討した。結果の概要を以下に示す。 ・文章構造を見抜く力については、教示文の影響により、測定できなかった。これは、生徒の反応が「個人の意見」「新聞が伝える事実への言及」「新聞報道の効果(逆効果)への言及」などのように広いレベルに拡散したことから言える。 ・論評に対して評価する力については、素材の提示の仕方を変えた(新聞社名をはずす)ことで、より記事内容の比較および読み取りが詳細になった。 ・情報発信者の意図を弁別・指摘する力については、ほぼすべての生徒が弁別できていた。これは素材の提示方法の効果もあると思われる。 今後は、これらの力を詳細に検討するとともに、いわゆる教科学習によって形成された学力との関係について、授業実践を通じて分析していく予定である。
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Research Products
(1 results)