Research Abstract |
1.カリキュラム段階とメディア認識との関連性についての調査研究 目的 カリキュラムを軸に,児童・生徒のメディアに対する認識が,発達的に変化するのかどうか検討する。 方法 対象者 大阪府下および兵庫県下の小・中・高等学校の児童・生徒996人。 課題 文字メディア(新聞)と映像メディア(テレビ)の2つのメディア活用場面がイラスト化された調査用紙。対象者は,決められた項目群に従い,場面ごとに評定をおこなう。 手続き 2004年11月から12月にかけ,各校ともクラス単位で実施。 結果 メディアに対するイメージは校種によって大きく変化しない。文字メディアは,「役に立つ」が,映像メディアは,あまり「役に立つ」とはとらえられていない。また,文字メディアについては,子どもは「役に立つ」と認識してはいるが,なぜ必要と考えるかを問われると,小学校の約半数の子どもたちが明確に記述できない。これはメディアについて意識的に考える機会が,学校教育段階で設定されていないことによるだろう。メディアはどのように役に立つのか,省察する機会を設ける,などの教育的働きかけが必要と考えられる。 2.高次読解リテラシー形成をめざした授業実践の開発・実施 目的 文字メディア活用を通じて,内容の理解にとどまらず,OECD/PISA調査で強調されているような,高次の読解リテラシー形成が可能かどうか検討する。 方法 対象者 兵庫県下の中学校3年生48人。 課題 複数の新聞記事から構成されたワークシート2種類((1)出来事は異なるが,伝え方が同じ複数記事。(2)出来事は同じだが,伝え方が異なる複数記事)。生徒は,授業実践の中でこれらのワークシートを読み,意見を交換しながら,内容について熟考する。 手続き 授業実践は,2004年6月に,2クラスで実施された。 結果 記述を分類するカテゴリを作成し、反応レベルを検討した。結果を以下に示す。(1)情報を客観的にとらえる読解リテラシーは,ワークシート(1)の利用を通じて,機能する。(2)ワークシート(2)の利用によって,生徒の理解は,個別の記事内容に焦点化してしまうことから,この提示様式(出来事は同じだが,伝え方が異なる複数の記事)では,高次読解リテラシーの形成が妨げられる可能性がある。
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