2003 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報の時空概念を統合する都市活動のダイナミズムに関する研究
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15700542
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 香織 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助手 (20345078)
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Keywords | データ対応付け / 業種 / 活動の平均余命 / 視覚化 / 変化の速度 / 解像度 / 業種構成 |
Research Abstract |
本研究は,各種事業所および居住世帯などの都市活動の動態を観察・分析・視覚化することによって,東京という都市のダイナミズムが空間をどのように特徴付けているかを捉えるようとするものである.今年度は,複数種類のデータベースの整理と,基礎的な分析およびその結果の視覚化を行った. まず,住宅地図データベースと電話帳データベースの対応付けおよび複数時点間の対応付けをし,業種属性付きの都市活動時空間データを作成した.データ対応付けは,アドレスジオコーディングした位置情報と名称文字列のあいまいマッチングによる. 次に,都市活動の持続・消滅をモデル化し,発生時刻不明で時間方向に限られたデータからの都市活動の平均余命(観察開始時点から消滅までの時間の期待値)の推定を定式化した. このデータおよび推定方法を用いた基礎的分析として,業種別の都市活動平均余命を推定したところ,ITビジネス,デザイン関連業種などで入れ替わりが激しく,官公庁,「医療機関,生活関連サービス業などは安定しているという結果が得られた.業種大分類によって変化の速さの傾向を捉えるとともに,より詳細な業種分類によってもそれぞれの特色を見出した. さらに,モデル選択基準に基づく領域分割を用いて,適切な複雑度(解像度)で東京中心部における推定平均余命の空間分布を視覚化した.そこに見られる特徴のひとつとして,変化の激しいエリアが港区北部および中央区に分布していることが挙げられる.また,各エリアの業種構成の観察でいくつかの特徴的な業種構成が抽出された.業種構成と変化速度との関係の分析により,領域の業種構成に偏りがあった場合,平均余命が長くなる傾向があることがわかった. これらの分析と視覚化された結果を,論文として投稿するとともに学会の大会等において発表した.また,本研究の一部である適切な解像度の視覚化を他都市に応用した分析を書籍として出版した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊藤香織: "東京中心部における商業・業務活動の寿命推定-空間分布と業種別傾向-"都市計画論文集. no.38-3. 133-138 (2003)
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[Publications] 伊藤香織: "東京中心部における都市活動の時空間密度"日本建築学会学術講演梗概集. F-1分冊. 969-970 (2003)
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[Publications] 浅見泰司(編集) 浅見泰司, 伊藤香織ほか(執筆): "トルコ・イスラーム都市の空間文化"山川出版社. 175 (2003)