Research Abstract |
本研究は,各種業務等の都市活動の動態を空間×時間×業種という多次元空間において観察する基礎的な手法を統合するとともに,都市のダイナミクスや多様性が空間を特徴付ける様を捉えるようとするものである.本研究は,主に東京を対象地域とし,(1)データ作成,(2)事象のモデル化,(3)観察のための適切な集計単位の算定,(4)諸次元での現象の推定,(5)結果の視覚化を行う.(1)ジオコーディングと文字列曖昧マッチングを用いて,住宅地図DBと電話帳DBの対応付け,複数時点間の対応付けをし,業種属性付き都市活動時空間データを作成する.(2)都市活動の持続と消滅をモデル化し,都市活動の平均余命の推定を定式化.また,業種構成の偏りと突間分布の偏りを情報量を指標として表す.(3)推定の信頼性を確保する適切な集計単位を求めるために,MPL基準と二分木矩形分割を用いてそれぞれの推定に対して領域分割の最適化を行う.(4)これらのモデルに基づき,諸次元で現象を推定する.業種による都市活動平均余命の違い(時間×業種次元),都市活動平均余命の空間分布(時間×空間次元),業種構成の特化度の空間分布(業種×空間次元),業種ごとの空間分布の偏り(業種×空間次元).(5)推定結果を3で求めた適切な集計単位で視覚化し,都市活動の動態を観察した.時間×業種では,ITビジネス,デザイン関連業種などで入れ替わりが激しく,官公庁,医療機関,生活関連サービス業などは安定しているという結果が得られた.時間×空間では,変化の多いエリアが港区北部および中央区に分布しており,業種構成に偏りがある場所では平均余命が長くなる傾向が見られた.業種×空間では,業種構成の特化したいくつかのエリアが抽出された.これらの分布の時間変化からは,業種構成の特化度が減少する傾向が見出された.また,業種によっては空間分布が均される方向の変化が見られた.
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