2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市大気における黒色炭素エアロゾルの消失過程の研究
Project/Area Number |
15710004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00324369)
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Keywords | 都市大気 / 黒色炭素エアロゾル / 一酸化炭素 / 消失過程 / 乾性・湿性沈着 |
Research Abstract |
黒色炭素エアロゾル(Black Carbon : BC)は、石油や石炭等の燃焼過程において直接放出される1次エアロゾルである。BCの多くは直径1ミクロン以下に存在するため、気管支や肺に到達して健康に悪影響を与える可能性がある。また、BCは二酸化炭素(CO_2)等と同様に地球大気の放射収支に対して正の効果(温室効果)を及ぼすため、IPCCレポートにおいて重要な気候変動因子に位置づけられている。本研究では、東京においてBCとそのトレーサーである一酸化炭素(CO)の同時測定を行った。この観測データに基づいてBC/CO放出比の見積もりを高精度化し、大気中におけるBCの消失過程を定量的に評価することを目的とした。本年度に達成した研究成果を以下に示す。 (1)本研究で採用した光吸収法によるBC測定装置(Particle Soot Absorption Photometer : PSAP)に関して、エアロゾル化学成分の内部混合状態がBC測定に与える影響を低減させるための改良を施し、BC測定の信頼性を向上させた。 (2)平成15年度に引き続き東京においてBCとCOの同時測定を行った。導出したBC/CO放出比を排出インベントリと詳細に比較し、東京におけるBCの主要な発生源がディーゼル車の排気であることを明らかにした。 (3)東京の風下地域である埼玉県においても観測を実施した。また、過去に実施した航空機観測データの再解析も行った。(2)において導出したBC/CO放出比と比較した結果、雲過程を伴わない場合(乾性沈着のみ)には、BCの消失量は1日程度の時定数では無視し得る大きさであることが明らかになった。一方、雲過程を伴う場合(湿性沈着あり)には、1日程度の間に80%が除去される例があることが明らかになった。湿性沈着による除去量は、エアロゾルの混合状態に大きく依存することが示唆された。
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Research Products
(6 results)