2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15710008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 けんし 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (10303596)
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Keywords | 代替フロン / 地球温暖化 / 対流圏 / 大気化学反応 / 反応速度定数 / 真空紫外レーザー / フーリエ変換赤外分光 / OHラジカル |
Research Abstract |
本研究では、人為的に大気中に放出される代替フロンの大気中における反応速度定数、反応生成物の同定と定量、地球温暖化係数などを明らかにすることを目的とした。実験には、波長可変真空紫外レーザー誘起蛍光分光法やフーリエ変換赤外分光法を用いた。具体的には、(1)イソブチルアルデヒド及びピバルアルデヒドと塩素原子との295Kにおける反応速度定数を、それぞれ(1.15±0.31)×10^<-10>、(1.33±0.25)×10^<-10>cm^3molecule^<-1>s^<-1>と決定した。アルデヒドは、代替フロンや揮発性有機物の光酸化反応の中間生成物として大気中で生成する。さらに、アルデヒドとCl原子との反応からアシル化合物が生成する分岐比を初めて計測し、それぞれ0.81±0.08、0.85±0.10と決定した。さらに、(2)CF_3O_2ラジカルとNOとの大気化学反応で生成するCF_3ONO_2の収率を世界で初めて決定することに成功した。その収率は(1.67±0.25)%と大変小さく、CF_3O+NO_2の生成経路が主要であることが明らかにされた。代替フロンの酸化過程で生じるCF_3O_2ラジカルの反応過程については未解明な部分が多く残されていたが、本研究によって、CF_30NO_2はCF_3O_2ラジカルのリザーバ分子としては重要ではないことが示された。次に、(3)代替フロンHFC-152a(CH_3CHF_2)とOHラジカルとの反応速度定数(295K)を(3.08±0.43)×10^<-14>cm^3molecule^<-1>s^<-1>と決定した。この結果、HFC-152aの対流圏寿命は1.8年と見積もられた。また赤外吸収スペクトルの計測からHFC-152aは1150cm^<-1>付近に強い赤外吸収があり、地球温暖化係数はCO_2の680倍(20年積算)になることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)