2004 Fiscal Year Annual Research Report
微量金属元素同位体を用いた河川および沿岸海洋の環境動態解析の試み
Project/Area Number |
15710009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
淺原 良浩 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (10281065)
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Keywords | 微量金属元素 / ストロンチウム / ハフニウム / 同位体 / トレーサ / 海洋 / 河川 / 環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は、河川・沿岸海洋における環境動態の解析ツールとして、地表に普遍的に存在する様々な微量金属元素を用い"微量金属元素同位体トレーサ法"を確立することである。昨年度は、河川堆積物中のストロンチウムの同位体(^<87>Sr/^<86>Sr比)を分析し、土壌などの地表物質の分布の規定要因、移動・拡散などの環境評価指標としてのSr同位体の有用性を確認した(Asahara et al.,投稿中)。本年度は、岩石風化・表土形成の指標として高い有用性が期待されるハフニウム(Hf)に焦点を当て、天然試料中のHf同位体分析法確立のため次の2点について重点的に検討を行なった。 まず、試料の前処理技術を確立するため、堆積物・懸濁物質の完全分解法を検討した。堆積物・懸濁物質中のハフニウムは重鉱物に偏在しているが、通常の開放系でのフッ酸分解ではこれらの重鉱物が溶け残りやすく、分析精度に大きな影響を与える。そこで、開放系での分解の残査を高圧分解容器内(密閉系)で分解した。高圧分解前後の分析値に明瞭な差があること、高圧分解した試料のHf濃度の繰り返し精度が良いことから、高圧分解により完全な試料の分解が達成できることが確認できた。次に、河川水などの低濃度ハフニウム試料の同位体分析に耐えうるよう、質量分析計のイオン源(表面電離)内でのHfのイオン化効率向上の検討を行なった。同位体分析精度を左右する一番の要因はこのイオン化効率であるが、Hfは第一イオン化ポテンシャルが高いため、そのイオン化効率は極めて低い(〜0.0010%)。ネオジム同位体分析法で通常用いるトリプルフィラメント方式を採用し、イオン化促進剤としてリン酸をHf試料に添加した場合、0.0010〜0.0025%のイオン化効率が得られた。イオン化促進剤としてホウ素の添加した場合、イオン化効率を大幅に高める(0.005%)ことができた。このHf同位体分析法の確立により、河川堆積物や河川水などの実試料への適用の準備が整った。
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