2003 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ年輪の1000年分析による海洋の10年〜100年スケール変動現象解析
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15710010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 理 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00293720)
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Keywords | サンゴ年輪 / 古環境復元 / 酸素同位体組成 / 海水酸素同位体組成 / 石垣島 / 与那国島 |
Research Abstract |
すでに保有している700年前から1000年前までの石垣島サンゴ化石試料について、軟X線写真撮影による年輪解析を行い、古環境復元に適した試料であることを確認した。その上で、酸素同位体測定用の粉末試料約4000個体を採取した。これらのうち、最古部(最深部)について10年分の酸素同位体組成を測定し、現生試料と同様の季節変動を示していることが明らかとなった。 石垣島において、体高約5mの現生サンゴ群体のボーリングを行い、軟X線写真撮影による年輪解析によって、古環境復元に適した約400年の年輪を有していることを確認した。一部について予察的に酸素同位体組成の分析を行い、これまで得られた石垣島の現生サンゴ群体と同様に、ほぼ水温変化と酸素同位体組成の変化が一致していることを確認した。 2001年に採取された与那国島現生サンゴ試料の酸素同位体組成測定を行い、観測された水温変化とよい一致を得ていることを確認した。 石垣島に1997年より継続的に採取している海水試料の酸素同位体組成の測定を行った。これによって、サンゴ骨格の酸素同位体組成の支配要因である水温と海水酸素同位体組成の両成分の分離を行った。石垣島サンゴ骨格はほぼ海水温の変動によって支配されているが、海水酸素同位体組成が夏季には降水の影響によって低くなり、冬季には蒸発の影響によって高くなる傾向が7年間の海水酸素同位体組成の測定結果から確実となり、この影響の補正が必要であることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yamano H., Abe O., Matsumoto E., Kayanne H., Yonekura N., Blanchon P.: "Influence of wave energy on Holocene coral-reef development : an example from Ishigaki Island, Ryukyu Islands, Japan"Sedimentary Geology. 159. 27-41 (2003)
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[Publications] Adachi H., Abe O.: ""Air Drill" for submerged massive coral drilling"Marine Technology Society Journal. 37(2). 31-36 (2003)
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[Publications] Sarma VVSS, Abe O., Saino T.: "Chromatographic separation of Nitrogen, Argon and Oxygen in Dissolved air for determination of triple isotopes by Dual-inlet Mass Spectrometry"Analytical Chemistry. 75(18). 4913-4917 (2003)
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[Publications] Abe O., Yoshida N.: "Partial pressure dependency of 17O/16O and 18O/16O of molecular oxygen in the mass spectrometer"Rapid Communications in Mass Spectrometry. 17. 395-400 (2003)