2003 Fiscal Year Annual Research Report
炭素同位体比観測による南北両極域での大気中メタン濃度変動の解明
Project/Area Number |
15710016
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
森本 真司 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (30270424)
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Keywords | 温室効果気体 / メタン / 炭素同位体比 / 炭素循環 |
Research Abstract |
大気中のメタン(CH_4)濃度は産業革命以降急激に増加していることが知られており、重要な温室効果気体の一つとして、その増加原因や将来起こりうる気候変動へのCH_4循環系の応答、そして将来濃度予測に関する研究が必要とされている。CH_4の炭素同位体比(δ^<13>CH_4)は、CH_4起源によって値が大きく異なっていることから、大気中のCH_4濃度に加えてδ^<13>CH_4を精密に測定することによって各放出源に関する情報が得られると考えられている。本研究では、まずガスクロマトグラフ質量分析計の改造と分析条件等の最適化を行い、少量(100cc)の大気試料からおおよそ0.05パーミルの精度でδ^<13>CH_4分析が可能なシステムを構築した。本分析システムを用いて、北極・ニーオルスン基地(北緯79度、東経15度)及び南極・昭和基地(南緯69度、東経39.5度)で採取された大気試料、及び過去にニーオルスンで採取され保存していた大気試料のδ^<13>CH_4分析を実施し、北極については1996年から現在までの8年間、南極については2001年から2003年1月までの2年間の高精度時系列データを得た。北極域のδ^<13>CH_4は振幅が約0.43パーミルの明瞭な季節変化を示し、その振幅・位相に年々変動が見られた。δ^<13>CH_4の経年変動成分にも不規則な変動が見られ、CH_4の主要な放出源である有機物の嫌気性分解とバイオマスバーニングの強度、そしてOHラジカルによるCH_4消滅反応強度の季節変動・年々変動を反映していると思われる。本研究で達成した少量試料によるδ^<13>CH_4分析の高精度化により、南極域における振幅約0.2パーミルのδ^<13>CH_4の季節変化を検出することに成功した。今後、更に高精度データの蓄積を行うと共に、得られたデータを用いてCH_4放出源・吸収源強度変動の定量的な評価を目指す。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morimoto, S.et al.: "Concentration variation of the atmospheric CO2 observed at Syowa Station, Antarctica from 1984 to 2000."Tellus. 55B. 170-177 (2003)
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[Publications] Morimoto, S.et al.: "In-situ measurement of the ozone concentration in the Arctic Airborne Measurement Program 2002 (AAMP02)"Polar Meteorol.Glaciol.. 17. 81-93 (2003)