2003 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気粒子等の粒子状物質が免疫系に及ぼす影響とその機構の解明
Project/Area Number |
15710047
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
小池 英子 独立行政法人国立環境研究所, PM2・5・DEP研究プロジェクト, 研究員 (60353538)
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Keywords | 微小粒子状物質 / ディーゼル排気粒子 / アレルギー疾患 / 抗原提示機能 / 細胞表面分子 / 肺胞マクロファージ / 抹消血単球 / 肺 |
Research Abstract |
平成15年度は,1.ディーゼル排気粒子(DEP)の曝露(in vitro),2.ディーゼル排気(DE)の曝露(in vivo)が抗原提示に関わる細胞表面分子(Ia,B7.1,B7.2)の発現と機能に及ぼす影響について検討した.1.ラットの肺胞マクロファージと末梢血単球は,DEP (10,30,100μg/ml)又はそこに含まれる有機成分と粒子の分画に24時間曝露した.DEP曝露は,肺胞マクロファージのIaおよびB7の発現に影響を及ぼさなかったが,末梢血単球のそれらの発現を濃度依存的に増加させた.DEP中に含まれる有機成分と粒子の分画を比較してみると,その作用は粒子よりも有機成分分画の方が圧倒的に高かった.また末梢血単球の抗原提示機能は,低濃度のDEP有機成分の曝露により増加した.DEPは分化した肺胞マクロファージではなく未熟な細胞である単球に作用し,抗原提示に関わる細胞表面分子の発現を増加させ,その機能を亢進させる可能性が示唆された.またその作用は主にそこに含まれる有機成分によることが明らかとなった.2.ラットはDE(3mg/m^3)に12時間/日で1ヶ月間曝露した.肺胞洗浄液中の細胞(BAL細胞)の抗原提示に関わる細胞表面分子の発現は,DEの単独曝露および抗原吸入を加えた系のいずれにおいても減少した.しかしながら,リンパ節細胞の増殖能はDE曝露により増加し,その増加は抗原吸入を加えることでより強く観察されたことから,抗原提示機能を持ったBAL細胞がリンパ節に移行した可能性も考えられる.また,喘息様病態の指標となる肺抵抗値もDE曝露の時間に依存して増加し,その増加は抗原吸入を加えることでより強く観察された.これらのことから,DE曝露はアレルギー反応を増悪させる可能性が示唆された.今後は,これらのメカニズムについて検討を進めていく予定である.
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