2003 Fiscal Year Annual Research Report
希土類焼結磁石スクラップからの遷移金属微粒子材料の再生
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15710060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 正浩 大阪大学, 先端科学技術共同研究センター, 助手 (90343243)
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Keywords | 希土類終結磁石 / スクラップ / 金属微粒子 / 電波吸収体 / リサイクル / 機能材料 |
Research Abstract |
希土類焼結磁石スクラップの再生工程において産業廃棄物として投棄されている金属量は年間数千トンにも及ぶことから、これら有用金属資源の機能性材料としての再利用法の確立が必要とされている。そこで、今年度は希土類焼結磁石(Nd_2Fe_<14>B系)スクラップについて、電波吸収材料としてのリサイクルを検討した。 Nd-Fe-B系焼結磁石の製造工程で多量に発生するスラッジ粉末が主要スクラップであることから、これに対して水素化および引き続く酸化処理を施すことで希土類酸化物-遷移金属ナノ複合体微粒子を作製した。得られたナノ複合粒子磁性粉末は、XRD測定の結果から、平均粒子径が約50nmのα-Fe、Fe_3BおよびNd_2O_3の一次粒子からなり、これらのナノ複合体粒子から作製した25wt%エポキシ樹脂含有成形体は5-20GHzの領域に-20dB以下の良好な電波吸収特性を示した。また、スラッジ粉末の粒径は数μm以下であることから、単にそれらを酸化するだけでも同様の良好な電波吸収特性を付与することが可能であった。上記のナノ複合体微粒子で見られた良好な電波吸収特性は、電波吸収媒体となるα-Feなどの遷移金属磁性体が絶縁体である希土類酸化物により単離されることにより電磁波により誘起される渦電流の発生が抑制されたためであると考えられる。 以上の結果から、Nd-Fe-B系焼結磁石から発生するスラッジ粉末は、室内無線LAN等で使用されるGHz帯域の電波吸収材として再生可能であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masahiro Itoh: "Recycling of Rare Earth Sintered Magnets as Isotropic Bonded Magnets by Melt-spinning"Journal of Alloys and Compounds. (印刷中). (2004)
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[Publications] Masahiro Itoh: "Reversible nitrogen absorption and desorption on rare earth-iron intermetallic compounds"Journal of Alloys and Compounds. 364巻. 208-213 (2004)
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[Publications] Masahiro Itoh: "Recycle for Sludge Scrap of Nd-Fe-B Sintered Magnet as Isotropic Bonded Magnet"Journal of Rare Earth. (印刷中). (2004)
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[Publications] 伊東 正浩: "希土類焼結磁石スクラップ再利用"希土類. 42巻. 24-25 (2003)
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[Publications] 三浦 晃嗣: "希土類磁石スクラップを用いたナノ金属鉄複合微粒子の作製と電波吸収特性"希土類. 42巻. 22-23 (2003)