2003 Fiscal Year Annual Research Report
亜臨界及び超臨界流体を用いたリグニンの改質による未利用植物資源有効利用技術の開発
Project/Area Number |
15710070
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Research Institution | Yamagata Public Corporation For the Development Of Industry, Institute Life Support Technology |
Principal Investigator |
藤 和珠子 財団法人山形県産業技術振興機構, 生物ラジカル研究所, 研究員 (90342732)
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Keywords | 植物性廃棄物 / リグニン / 亜臨界 / 超臨界 / 紫外線吸収剤 / 酸化防止剤 |
Research Abstract |
廃材、米ぬか、茶殻、ピーナツ殻といった植物性廃棄物から、亜臨界および超臨界水によるリグニン成分の抽出方法の検討と機能性評価を行った。その結果、200℃、22.1Mpaの亜臨界水処理したのち、エタノール抽出することにより、元のリグニンの特性を生かした、亜臨界水抽出リグニンが得られることがわかった。この方法は、(1)有害な有機溶媒を使わないクリーンな抽出方法である、(2)抽出時間が短縮(従来法であるBjorkman法では数週間を要するのに対し、亜臨界抽出法は半日)、(3)収率の向上(米ぬかでの収率は従来法の0.15%に対し、3%)という利点がある。亜臨界水処理リグニンはゲル濾過クロマトグラフィーで検討した結果、分子量は1000-2000と従来法リグニンのおよそ半分であった。UV吸収波長範囲は、従来法リグニンと同じ、200nmから400nmと幅広く、UV-AからUV-Cをカバーする紫外線吸収剤として有効であると考えられる。現在、紫外線に対して劣化しやすいプラスチックにおけるUV吸収剤としての効果を検討している。酸化防止剤としての機能を調べるために行った、リノール酸の空気酸化実験でも、亜臨界水抽出リグニンでは、ほぼ従来法で得られるリグニンと同等の効果が得られた。ビタミンE、カテキンなどと併用することでさらに高い酸化防止効果が期待される。今後は金属イオンの吸着能の検討、超臨界CO_2によるリグニン-糖結合体の調製とその機能性評価を行う予定である。
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