2003 Fiscal Year Annual Research Report
AFMを用いた極微細電解析出法によるナノ加工技術の開発
Project/Area Number |
15710082
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
阿部 克也 信州大学, 工学部・電気電子工学科, 助手 (70334498)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 電界析出 / ナノファブリケーション |
Research Abstract |
本研究は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた極微細電解析出法による金属微細構造の形成技術の開発・確立を目的として行った。まず、AFM観察における目印を付けるために、シリコン基板をフォトリソグラフィーによってパターニングした。その基板上に、1mol/L酢酸ニッケル水溶液を、スピナーを用いてコーティングした。ここで、基板の濡れ性を高めることが肝要であると考え、界面活性剤であるTriton100を水溶液に微量添加した。その結果、水溶液の濃度、スピナーの回転数、活性剤の添加濃度などを変化させることで、基板上の塗布膜の密着性および均一性が向上することを確認した。 次に、この基板をAFMにセッティングし、金属ナノ構造の形成を試みた。基板を負バイアスとし、電圧を印加しながら探針を直線スキャンしたところ、-20V以上の条件において、線状の溝構造が形成されることが分かった。電界析出が起こった場合には、その場所における体積が減少すると考えられるので、この結果は矛盾していない。しかしながら、加工後の基板を純水洗浄した後にAFM観測した結果、同様の構造が形成されていることを確認できなかった。従って、この線状構造は、電界によって塗布膜が破壊され、溝が形成されただけか、もしくは、線状の析出物が形成されていても、基板との密着性が悪く、純水洗浄によって容易に剥がれてしまうような状態であることが示唆される。 今後は、電界析出が起こったときの析出物と基板との密着性を高めるために、金属基板上に同一金属のナノ構造を形成することを試みる。さらに、電解液およびその塗布条件の最適化、AFM加工条件の最適化を行い、再現性よく析出物が得られる手法を開発する。
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