2003 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質分子機械の機能発現の場としてのリポソーム実験系開発
Project/Area Number |
15710085
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 究 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70301190)
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Keywords | 1分子可視化 / リポソーム / 膜タンパク質 / 分子機械 |
Research Abstract |
本研究では、生体膜を細胞の情報や物質伝達の場としてとらえる。そこで生命現象に関与する様々な化学物質やタンパク質分子の膜間移動を、生きたままの状態でリアルタイムに1分子レベルで画像化する事を目的とする。リポソーム上での1分子可視化系を確立した後、膜に埋め込んだ輸送タンパク質を通る被輸送物質を可視化する。 1分子の可視化は、今まで、ガラス基板表面などの完全に人工的な表面で行われてきた。リポソーム上でタンパク質または基質となる物質の1分子観察を実現することにより、生体のメカニズムの再構築と解析に有利なツールを提供する。 現在、レーザートラップを組み込んだ倒立顕微鏡を構築している。それを用いて、直径5μm 程度のリポソームの捕捉および操作の系を確立した。しかし、脂質二重膜に加わるレーザートラップの捕捉力は非常に弱い。現在この系をさらに改良し、10μm程度のジャイアントリポソームを捕捉・操作できるように改良中である。 また、膜状に結合した蛍光標識タンパク質を可視化するために、波長532nmのNd : YAGレーザーをレーザートラップ顕微鏡に組み込んだ。開口数の大きな対物レンズの瞳の端から入射できるようにし、対物レンズ型エバネッセント場照明を行えるようにした。 来年度は、実際にジャイアントリポソーム脂質二重膜に蛍光標識した膜タンパク質を埋め込んで、その1分子観察を実現する予定である。また、その膜タンパク質に相互作用する基質分子の可視化も試みる。埋め込む予定の膜タンパク質としては水素イオン濃度勾配を利用してATPを合成しているATP合成酵素を考えている。最終的には、複数の膜タンパク質を埋め込んで、リポソームで一つの系を成す疑似生体マシンを作成できたらと考えている。
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