2004 Fiscal Year Annual Research Report
「ナノメートル原器」創製のための単分散標準粒子の発生に関する研究
Project/Area Number |
15710098
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 中央大学, 理工学部, 助教授 (40312251)
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Keywords | ナノメートル原器 / 単分散 / 標準粒子 / フラーレン / 魔法数クラスター / 電気移動度 / DMA / コロナ放電 |
Research Abstract |
ナノスケール領域において顕著に発現されると期待されている量子サイズ効果は、ナノ物質のサイズ(あるいはナノ粒子の粒径)に極めて敏感であるため、そのサイズを精確に決定することが必要不可欠である。しかし従来から行われている外挿法に基づく方法では実現不可能であった。そこで本研究では、「ナノメートル原器」とも呼ぶべき単分散なナノ標準粒子の系統的な発生法の確立を目的とした検討を行った。 平成16年度は、前年度開発を行ったフラーレン粒子発生源を用いてフラーレンクラスターの高分解能分析に取り組んだ。その結果、C_<60>クラスターの単量体と2量体の分離に成功した。また分子動力学計算の結果と比較したところ、その幾何構造は単量体が物理的に結合したものではなく化学的に結合した様式であることが示唆された。その反応過程についてはイオン化状態が密接に関連していると考えられる。これらの結果について論文発表を行った。また高次フラーレンであるC_<70>を用いてC_<60>で得られた結果と比較を行った。その結果、C_<70>単量体の粒径はC_<60>のそれより若干大きく観測され、その粒径はC_<70>固体中における平均分子間距離に相当した。これらの結果は高次フラーレンもC_<60>と同様に極めて優れた標準粒子としてふるまうことを示しており、これらの結果についても論文発表を行った。さらにコロナ放電型の粒子発生装置をもちいた実験を行い、従来のアメリシウム型発生装置との比較を行った。その結果、コロナ放電型の発生源においては2種類の成長傾向をもつフラーレン粒子の生成が観測された。これはコロナ放電によって生成された高密度なプラズマに起因する様々な過程由来の粒子が生成していることを示唆している。こうした種類のフラーレンナノ粒子は幅広い粒径域にて生成されており、従来より広い粒径領域についてもナノメートル原器として応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)