2003 Fiscal Year Annual Research Report
伝熱機構と空気流入機構に着目したマグネシウム加工粉の消火システムに関する研究
Project/Area Number |
15710109
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 祐嗣 弘前大学, 理工学部, 助手 (80333714)
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Keywords | マグネシウム / 金属火災 / 消火ガス / 流れの可視化 / 火災物理 / PTLS法 |
Research Abstract |
マグネシウム加工粉火災の消火システムを構築するための基礎データとして,マグネシウム粉体層上を燃え拡がる火炎において,火炎先端周囲の流れ場測定を行った.測定は自然対流下および対向流中で行った.火炎先端近傍の空気流速は,高分子など金属以外の物質の燃焼に比べ2〜3倍の速度を持ち,約1m/s以上の速度で火炎へと流入する流れが見られた.このような大きな速度を持つ原因として,1.金属燃焼における火炎温度が2500〜3000Kと非常に高く,浮力流れが大きいこと.2.粉体層内の急激な温度上昇により膨張した空気が粉体層より噴き出すこと.の2つが考えられる. マグネシウム加工粉火災の消火ガスによる消火の可能性を探るために,N_2,アルゴンおよび両者の混合比を20%づつ変えた消火ガスを用意し,対向流中へ消火ガスを流入させた場合のマグネシウム粉体層の燃え拡がり速度を測定する実験を行った.空気中では強い閃光を発して燃焼するが,消火ガス中では気相反応が抑えられて主として金属粉表面の表面反応により燃え拡がる.燃え拡がり速度は空気中に比べ半分程度まで低下し,燃え拡がりの抑制効果があることが示された.また,N_2やアルゴンの純ガスよりは両者を混合したガスの方が燃え拡がり速度は低くなる.最も燃え拡がり速度が小さく高い燃え拡がり抑制効果を示したのは,アルゴン40%:N_260%の混合ガスであった.混合ガスが高い燃え拡がり抑制効果を示すのは,アルゴンの気相反応抑制効果と燃焼反応によって生成された窒化物の分解反応における吸熱反応との相乗効果によるものと考えられる.燃焼残渣を詳細に観察した結果,消火ガス流中で燃え拡がった場合の燃焼残渣は表面に密な反応生成物による膜が形成され,燃焼反応している燃料層に十分消火ガスが流入せず,表面反応が継続されることがわかった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 工藤 祐嗣, 伊藤 昭彦: "マグネシウム粉堆積層に沿った燃え拡がりの火炎形状と流れ場測定"第41回燃焼シンポジウム講演論文集. 507-508 (2003)
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[Publications] 菊池 洋, 工藤 祐嗣, 伊藤 昭彦: "不活性混合ガス流中でのマグネシウム粉体の燃え拡がり"平成16年日本火災学会研究発表会概要集. (発表予定). (2004)