2004 Fiscal Year Annual Research Report
境界の自己決定に焦点を当てたオートポイエーシス的な社会システムモデル構築への挑戦
Project/Area Number |
15710118
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
平山 克己 北九州市立大学, 経済学部, 助教授 (00336950)
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Keywords | オートポイエーシス / マルチエージェント / シミュレーション / 遺伝アルゴリズム / マルコフ決定過程 |
Research Abstract |
本研究の目的はオートポイエーシス的なエージェントをコンピュータ上に作成し、マルチエージェントシミュレータを用いてエージェント社会の挙動を観察することにより、人間社会における様々な現象や変化について考察することである。 ここで、オートポイエーシスとは神経生理学者のR.MaturanaとJ.Varelaによって考え出された生命システムであり、国内では、河本が第三世代システムとして、オートポイエーシスの研究を行っている。従来から、サイバネティクス、ホメオスタシス、自己組織化など様々なシステム理論が考案されているが、従来のシステム理論とは異なり、オートポイエーシス理論は生命システムの理論である。 本研究のオートポイエーシス的エージェントとは先天的な特性と後天的な特性をもっているエージェントであり、このエージェントの振舞とエージェントがエージェント社会に及ぼす影響について解析を行った。ここで、先天的な特性とは国籍、人種、性別等、人間が生まれながらに持っている遺伝的な特性である。この特性は自分の意志では決して変えることのできない普遍的な特性である。また、後天的特性とは、勘、経験や知識等で、生後、学習、体験し会得する特性である。この特性は人間が存在する環境もしくは社会によって大きく変化させざるを得ない特性である。言い換えると、先天的特性は生物進化のための遺伝的な機能であり、後天的特性は環境に適応しながら自己維持を行うための機能であると考えられる。 このように、人間の特性を遺伝的特性と後天的特性の二面性として考えた場合、これらの特性はどのように社会全体に伝播しているのか?また、このエージェント社会そのものがオートポイエーシス(Auto-poiesis:自己制作)として作動しているのではないだろうか?という視点からシミュレーションを実施し、その結果を検証した。
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Research Products
(2 results)