2004 Fiscal Year Annual Research Report
火災による森林機能の低下機構とその再生過程を考慮した時系列ハザードマップの構築
Project/Area Number |
15710131
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
辻子 裕二 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (40259859)
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Keywords | リモートセンシング / 林野火災 / ハザードマップ / 斜面安定 / 植生指標 / 葉面積指数 / 一面せん断試験 / 根系 |
Research Abstract |
本研究は,根系が斜面に与える影響を考慮したハザードマップの構築を最終目的とする.とくに,樹木の枯損/再生による時系列的な根系の損傷の変遷を考慮に入れた,時系列ハザードマップについて言及した.2002年岐阜林野火災,2004年福井豪雨を事例として,現地調査ならびに解析を行い,以下のような成果を得た. (1)衛星データの利用を想定した被災の程度について検討し,3段階の被災レベルを定義した. (2)岐阜林野火災について,設定した被災レベルに基づきTMやETM+から被災面積を計算した結果は現地調査結果とほぼ一致した.これらの結果は,災害対策本部が示した被災面積と大きく異なった. (3)LAI(葉面積指数)を樹冠の状態を示すものと考えた場合,樹冠はTMやETM+から得られるNDVI(正規化植生指標)によって推定できることを確認した.この関係(指数関係)は被災直後ならびに被災から数年後においても一定であることが判った.また,樹種を針葉樹に限定した場合,既往の研究成果と一致することが確認された. (4)樹冠樹種,樹高,樹齢樹密度,土層を入力とした根系推定の方法を提示した.ただし,現段階ではLPによるデータの補完が必要であることを問題点として示した. (5)根密度と土質定数との関係を大型一面せん断試験によって明らかにした.この結果,粘着力と根密度との間に有意な関係が見出された.内部摩擦角と根密度の間には有意な関係が見出せなかった. (6)根系の影響を考慮した斜面の安定解析を円弧すべり法,FEMによって行い,0.81%の根密度を有する場合,根系のない土層に比して約40%の安全率の向上が確認された.
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Research Products
(6 results)