2004 Fiscal Year Annual Research Report
家計の災害リスクの認知構造と災害保険の購入行動に関する研究
Project/Area Number |
15710139
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
横松 宗太 国立大学法人鳥取大学, 工学部, 助手 (60335502)
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Keywords | 自然災害 / リスク認知 / リスクマネジメント / リスクコミュニケーション / 災害保険 / 被災者支援制度 / 居住地選択 / 自主防災活動 |
Research Abstract |
本年度は3通りのモデルを用いて理論研究を行った. 第1のモデルでは,近年拡充している住宅再建補助や家賃補助政策が,市場における家計の事前の地震保険購入行動や事後的な住宅再建行動に与える影響について分析した.その結果,被災後に住宅を再建する誘因をもつのは若年の家計であり,住宅再建支援制度の利得は若年の家計に帰着することが明らかになった.また高齢の家計は被災後は借家に居住して家賃補助制度の適用を受けることが判明した.さらに両補助制度は住宅を失った家計の域外流出を妨げる効果をもつことが示された. 第2のモデルではハザードマップ等のリスク情報が提供されているにもかかわらず,家計が合理的判断によってリスク情報を無視して危険な地域に居住する現象について記述した.家計は多くの住民が氾濫河川流域に居住すれば政府が堤防整備を行わざるを得なくなることを合理的に予測して危険地域に立地する.その結果,無駄な防災投資支出が生じることになる.また,本研究では防災投資の費用負担ルールを通じた経済的インセンティブの導入が家計を最適な立地行動に誘導する可能性について示した. 第3のモデルでは,自主防災会におけるリスクコミュニケーションの成立可能性に着目した.理論研究に先だって鳥取市,米子市の自主防災会に対してアンケート調査を行った.調査の結果,鳥取市と米子市では多くの自主防災会において活発なリスクコミュニケーションは行われていないことが判明した.そこで,その現象を説明することを目的として理論モデルを作成し,リスクコミュニケーションには時間がかかるという要因によって,自主防災活動の緊急性が高いほど十分なコミュニケーションが行われない可能性を示した.そして短時間で住民の認知を向上させる効果をもつ地域防災活動マニュアルやビデオを公共が用意することが有効であることを指摘した.
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Research Products
(4 results)