2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAアレーデータから枯草菌転写ネットワークを情報学的に再構成する試み
Project/Area Number |
15710142
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 和夫 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (70324978)
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Keywords | 枯草菌 / 転写制御 / DNAアレー解析 / 野生株 |
Research Abstract |
枯草菌の転写制御システムの全体像に迫るために、昨年度までに、野性株168株における遺伝子発現の変動について12の培養条件での時系列データ、また既知の転写因子を中心に約80の転写制御因子の変異株の遺伝子発現プロファイルを取得している。そこで、これらのデータをジーンスプリング・ソフトウエアで解析したところ、12の培養条件下では、枯草菌のもつ4,100遺伝子のうち約2,000遺伝子が何らかの発現の変動を示すこと、そのうちの約1,500遺伝子の発現変動が約80転写因子によって説明可能なことが分かった。生育に必須で実験することが難しい主要シグマ因子σ^A単独で転写されている遺伝子が多数存在することを考えると、取得したデータは枯草菌転写ネットワークを解析するのに十分であると考えられた。そこで、さらに情報学的に正確な解析を行うために、いくつかの情報解析の専門グループに解析を依頼した。しかし、私自身の望む解析と情報学を専門とする研究者の興味、また解析スピードの乖離が大きく、共同研究はうまく機能しなかった。異分野の研究者との共同研究の難しさを痛感させられた。結果として、非常に多くのデータは取得したが、十分な解析が行えず世界の競合グループからは大きく後れをとってしまった。 一方、枯草菌の転写制御因子の半分以上を占める機能未知の転写因子については、これまでの解析ではごく一部しかその機能を明らかにすることはできなかった。その原因の一つとして本研究で使用した168株は、変異処理によりtrpC2マーカー付与された実験室株であり、本来の野性株が持っていた機能を失っている可能性が考えられた。そこで、自然界から単離された枯草菌野性株であるATCC6051株に転写制御因子の変異を導入し、解析したところ、168株では表現型が見つからなかった表現型がいくつかの変異株で観察できた。現在、すべての転写因子の変異を野性株に導入し、さらに解析を進めている。
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Research Products
(3 results)