2004 Fiscal Year Annual Research Report
光機能性生体分子によるアポトーシスの誘導と癌治療への応用
Project/Area Number |
15710161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 政幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (70335389)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ-3 / 光化学 / 非天然アミノ酸 / 細胞外翻訳反応 / 細胞導入 / 癌治療 |
Research Abstract |
caspase-3はアポトーシス(プログラムされた細胞死)の最終段階で働くプロテアーゼであり、本研究ではこれを光機能化し活性を光化学的に制御することで、人為的なアポトーシスの誘導を行うことを目的とした。Caspase-3はアポトーシスシグナル伝達の上流にあるプロテアーゼcaspase-8による特異的な切断(セリン176残基)により活性化される。この特異的な切断位置に光分解性の2-nitrophenylglycine(Npg)をペプチド主鎖に導入し光照射により活性化の制御を試みた。 ヒトcaspase-3のS176への特異的なNpg基の導入は、4塩基コドンと細胞外翻訳反応によって行った。Npgの176残基への取り込みの効率は15%であった。Npgを導入したcaspase-3を用いて、光照射(500W高圧水銀灯、366nm、0℃)を行い、基質であるDEVD(Asp-Glu-Val-Asp)の分解[(DEVD)_2-rhodamine110で測定]を用いて活性を見た。光照射前(Omin)では活性は見られないが、1分間の光照射で明らかな酵素活性の回復が見られた。caspase-3阻害剤(DEVD-CHO)の添加によってその活性が抑制されたことからこれらの活性がcaspase-3に由来することが確認された。また^<35>S-ラベルしたNpgを導入したcaspase-3への光照射を見ると5分以上の光照射でタンパク自体の分解が見られた。これは長時間の光照射(15分以上)での活性の減少に対応した。次にcaspase-3の持つ自己切断と活性化の抑制について検討した。天然型では時間に依存して徐々に活性が増加するが、Npg-caspase-3では自己活性化は抑制され、光照射によって天然型と同様の自己活性化能を回復することが明らかとなった。このことから、Npgの位置選択的な導入によって、caspase-3の活性を制御することに成功した。この結果、細胞内への光機能性caspase-3が導入されれば、アポトーシスの誘導が可能性となると考えられる。これらの光機能化したcaspase-3を細胞に侵入可能にするため、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)のTAT配列(YGRKKRRQRRR)をNまたはC末端に導入した光機能性caspase-3を合成した。これによって、ヒトのT細胞(Jurkat T cell)内に効率よく取り込ませる実験を行う計画である。
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Research Products
(6 results)