2003 Fiscal Year Annual Research Report
就眠運動阻害剤を基盤としたアメリカツノクサネム特異的除草剤の開発
Project/Area Number |
15710168
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高田 晃 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (10332701)
|
Keywords | 天然物化学 / 就眠運動 / 環境調和型除草剤 / 遺伝子組換えダイズ栽培 / 就眠運動阻害剤 |
Research Abstract |
マメ科植物の多くは日周性の就眠運動を行なう。この運動は就眠・覚醒の2種の活性物質の濃度バランスの変化により制御されている。また、この運動を覚醒状態のまま停止させると水分蒸発量が上昇し枯死することから、就眠運動の阻害剤は従来にない除草剤のリード化合物となりうる。 アメリカツノクサネムはモンサント社のラウンドアップの効果が低いために、米国の遺伝子組換えダイズ農業において重大な問題となっているマメ科の難防除雑草である。本研究では、本植物の選択的除草剤の開発を目指して覚醒物質の探索を行なった。 沖縄で採集したツノクサネムのメタノール抽出液に対し、独自の生物検定試験を指標として分離条件を検討した結果、弱い覚醒活性を示すアデニン、トリプトファンを得ることができた。しかし、より強力な活性を示す真の覚醒物質は植物体内に多量に含まれる糖成分との分離が困難であるため、本手法では精製することができなかった。そこで、比較的糖成分との分離が可能であったAmberlite X AD-7、TOYOPEARL HW-40Fによるゲルろ過クロマトグラフィーを繰り返し、1g/Lの濃度で覚醒活性を示す画分を得ることに成功した。さらに、本活性画分の分離検討を続けた結果、Develosil ODS-HG-5カラムを用いたHPLCを繰り返し行なうことで、10^<-3>g/Lという強力な覚醒活性を示す画分19μgを得るに至った。活性物質の分子量を数百程度と仮定すると、この活性物質は植物ホルモンにも匹敵する濃度でツノクサネムに対し覚醒活性を示すことになる。今後は本活性物質の大量調製と構造解析を進め、アメリカツノクサネムに特異的に覚醒活性を示す高選択的除草剤開発へと研究を展開させる。
|
Research Products
(1 results)