2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜上で起こる相互作用解明のための脂質二重膜配向法の開発
Project/Area Number |
15710171
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊地 淳 独立行政法人理化学研究所, NMR計測技術高度化研究チーム, 研究員 (00321753)
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Keywords | 脂質二重膜 / タンパク質 / 核磁気共鳴 / 異方性 / 安定化 / 磁場配向 / 高磁場 / 環境応答 |
Research Abstract |
1.膜結合型タンパク質を配向させるための新規磁場配向二重膜の開発 磁場配向実験で良く用いられるバイセルは安定性に大きな問題がある。バイセルの短鎖部分を中性界面活性剤に置換した脂質二重膜で磁場配向実験を試し、その親水・疎水部に取り得る炭素鎖長を詳細に検討した。さらに、陰イオンとの相互作用についても配向試料の四重極核観測から遂行し、双極子モーメントの差が脂質二重膜の磁場配向度に強く影響することがわかった。これらの成果は後述以外にも2報の論文著述中に加え、核磁気共鳴学会賞を授与したことを付記する。 2.膜結合型両親媒性ペプチドの磁場配向膜への結合 高等動植物細胞膜にはコレステロールが多く存在するが、細菌細胞膜には殆どない点に着目し、磁場配向膜にコレステロールをドーピングしたところ、脂質二重膜溶解ペプチドであるメリチンに対する安定性が著しく向上した。この成果は後述のLangmuir誌の他に、現在Biophys.J誌への投稿を終え審査結果待機中であることを付記する。 3.生物の環境応答機構解析 植物をはじめとする乾燥や温度といった外的要因に対する環境応答には、種々の低分子が蓄積されることが報告されている。特にトレハロース、アルブチンといった細胞内に高濃度で蓄積される適合溶質が、脂質二重膜と強く相互作用することを証明した。 4.異方的構造情報を駆使したタンパク質立体構造計算法の検討 本課題で開発した磁場配向膜は、水溶生タンパク質の立体構造決定の際にも有用であることを示した。具体的には、NMR法により立体構造決定の限界濃度(0.1mM)であるParkinについて、磁場弱配向に伴う異方性情報から極めて有効に構造決定できた。今後光環境応答系のタンパク質に適用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 菊地 淳: "磁場配向を用いた生体分子のNMR構造解析法"パリティ. 18. 65-65 (2003)
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[Publications] Sasaki, H., Fukuzawa, S., Kikuchi.J., Yokoyama, S., Hirota, H., Tachibana, K.: "Cholesterol doping induced enhanced stability of bicelles"Langmuir. 19. 9841-9845 (2003)
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[Publications] Sakata, E., Yamaguchi, Y., Kurimoto, E., Kikuchi.J., Yokoyama S., Kawahara, H., Yokosawa, H., Hattori, N., Mizuno, Y., Tanaka, K., Kato, K: "Parkin binds the Rpn10 subunit of 26S proteasomes with the ubiquitin-like domain"EMBO Report. 4. 301-306 (2003)
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[Publications] Kraft, B.J., Masuda, S., Kikuchi, J., Dragnea, V., Tollin, G., Zaleski, J.M., Bauer, C.E.: "Spectroscopic and mutational analysis of the blue-light photoreceptor, AppA : A novel photocycle involving flavin stacking with an aromatic amino acid"Biochemistry. 42. 6726-6734 (2003)
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[Publications] Kiyoshi, T., Maeda, H., Kikuchi, J., Ito, Y., Hirota, H., Yokoyama, S., Ito, S., Miki, T., Hamada, M., Ozaki, O., Hayashi, S., Kurihara, N., Suematsu, H., Yoshikawa, M., Matsumoto, S., Sato, A., Wada, H.: "Present status of 920 MHz high-resolution NMR spectrometers"IEEE Trans Appl.Supercond.. (in press). (2004)
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[Publications] 菊地 淳, 木吉司: "現世界最高磁場920MHzNMR"化学. 59. 54-55 (2004)