2003 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連の民族粉争と政治発展:ナゴルノ・カラバフ粉争とアゼルバイジャン政治を事例に
Project/Area Number |
15710186
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
廣瀬 陽子 慶應義塾大学, 総合政策学部, 専任講師 (30348841)
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Keywords | 民族紛争 / 比較政治 / 国際政治 / 地域協力 / アゼルバイジャン / 権威主義体制 / 旧ソ連 / CIS |
Research Abstract |
本年度は、研究成果実績報告書に記した4つの論文、1つの共著論文、1回の学会報告において直接的な研究成果を発表したほか、研究テーマに間接的にかかわる論文も5つ発表し、講演も多数行った。 今年は、コーカサス地方でさまざまな政治変動があったことに鑑みて、政治発展を比較の観点を交えて多角的に検討した。また、紛争については、他国との比較を交えつつ、紛争解決がいかに困難であるかを検討し、さらに紛争を解決するにはどのようなアプローチを取ればよいか、また紛争解決が困難であることをかんがみて、紛争を未然に防止するにはどのような国際社会の貢献が考えうるのか、という諸問題について理論と実例の両面から研究を深めた。 それらの研究のためには、内外の研究者との交流が大変有益であった。とりわけ、12月〜1月のオーストリアのOSCE(ナゴルノ・カラバフ紛争の仲介を行っているほか、旧ソ連諸国の民主化や予防外交に尽力している)本部、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、カザフスタンへの出張、さらに2月〜3月の英国、ロシア、ウクライナへの出張では非常に多くのことを得ることができた。これら出張においては、貴重な資料を多数収集できただけでなく、各地の研究者と議論を交わすことにより、権威主義体制および民主化の比較研究、民族問題が紛争となる場合とならない場合の比較研究、天然資源の存在が各国の経済発展や地域協力、ひいては地域の平和に貢献するかどうかということの検討などを研究することができた。 この研究は2004年度にも継続して行われるが、まず、中央アジアとコーカサスの権威主義と政治発展に関する比較研究を論文の形で発表し、また、天然資源の開発と輸送による地域協力が紛争などの諸問題と地域のエネルギー問題の双方を同時に解決するのではないかということを提示する論文を執筆することにより、本課題のひとつ段階に関して総括を行いたいと考えている。
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[Publications] 廣瀬陽子: "アゼルバイジャンの政治現勢:2002年レフェレンダムの結果と2003年大統領選挙の展望を中心に"財団法人アジアクラブ・中央ユーラシア調査会『中央ユーラシアへの多角的アプローチ』(中央ユーラシア調査会報告集). Vol.2:2002〜2003年. 22-41 (2003)
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[Publications] 廣瀬陽子: "アゼルバイジャン大統領選挙戦と内政・外交の行方"ロシア東欧経済速報(ロシア東欧貿易会)2003年11月15日号. No.1278. 1-8 (2003)
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[Publications] 廣瀬陽子: "アゼルバイジャン独立の10年と大統領選挙"ロシア東欧貿易会調査月報. 12月号. 42-63 (2003)
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[Publications] 廣瀬陽子: "ナゴルノ・カラバフ紛争の位相:冷戦終結の影響と和平の模索を中心に"社会科学研究(近日刊行). 第55巻5・6合併号(未定). (2004)
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[Publications] 松井弘明編(廣瀬陽子・分担執筆): "9.11以降の国際情勢の新展開とロシア外交"日本国際問題研究所. 230 (2003)
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[Publications] 岩崎正洋編(廣瀬陽子・分担執筆): "政策とガバナンス"東海大学出版会. 228 (2003)
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[Publications] 政策分析ネットワーク編(廣瀬陽子・分担執筆): "政策学入門・ポリシースクールの挑戦"東洋経済新報社. 216 (2003)
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[Publications] 香川敏幸, 小島朋之編(廣瀬陽子・分担執筆): "慶應大学出版会"総合政策学の最先端・第4巻. 316 (2003)
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[Publications] 田畑伸一郎, 末澤恵美編(廣瀬陽子・分担執筆): "CIS:旧ソ連空間の再構成"国際書院 (未確定(2004年4月出版予定)). (2004)