2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720017
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
坂倉 裕治 立教大学, 文学部, 助教授 (60318681)
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Keywords | 18世紀フランス思想 / 感覚論哲学 / 聾唖者 / コンディヤック(E.B. de Condillac,1714-80) / 啓蒙主義 |
Research Abstract |
本年度は3カ年計画の1年目にあたる。次年度の本格的調査のための予備調査として、平成15年9月に2週間、フランスに出張した。主な訪問先は次のとおりである。パリ第四大学、パリ第七大学、パリ国立聾学院(INJS de Paris)、国立教育研究所(INRP)、フランス国立図書館(BNF)、ルソー記念館(Musee J.-J.Rousseau, Montmorency)。 本研究では、18世紀フランスの感覚論哲学を分析することを通じて、理性が担った歴史的役割の一端を明らかにすることをめざしている。そのために、この系譜に原型を与えたコンディヤック(Etienne Bonnot de Mably abbe de Condillac,1714-80)を中心に、関連する思想家たちの諸著作を分析する。パリ第四大学には、フランス国立科学研究所との共同設置になる17・18世紀研究の拠点があり、関連領域に関する最新の研究状況が確認できた。また、本研究の計画について、専門家から助言を得ることができた。 本研究では、感覚論哲学のテクストを当時の聾唖者に関する議論と重ね読みしながら、分析する。幸い、本研究の遂行にあたって、パリ国立聾学院の全面的な協力を得ることができるようになった。同学院付属図書室には、本研究に必要な一次資料のうち、聾唖教育関係のほとんどすべての版本が所蔵されていることが確認でき、その一部を複写物の形で入手した。次年度に集中的な文献調査を予定している。 また、本研究では、基本テクストを歴史的文脈の中で読み解くために、18世紀の知識人にとって最も身近なメディアであった定期刊行物にも注目している。しかし、対象となる資料の中には、目録が整備されていないものや、本体それ自体が手稿の形で回覧されたものもあり、予備調査が難航している。次年度以降も、情報の収集に努めたい。 次年度の本格調査を経て、平成17年度には、研究成果のとりまとめに入る予定である。
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