2004 Fiscal Year Annual Research Report
『光源氏物語抄(異本紫明抄)』を中心とする中世の源氏物語古注釈の研究
Project/Area Number |
15720041
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
陣野 英則 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (40339627)
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Keywords | 源氏物語 / 古注釈 / 光源氏物語抄(異本紫明抄) / 紫明抄 / 素寂 / 長珊聞書 / 三条西公条 |
Research Abstract |
前年度は、『光源氏物語抄(異本紫明抄)』にみえる本文の区分に関する注記全般について調査・検討した結果を論文にまとめて、『早稲田大学大学院文学研究科紀要』に発表したが、平成16年度は、この論文の補正に取り組み、著書『源氏物語の話声と表現世界』の一部分(Iの第二章)として収載した。なお、この著書は、平成16年11月、勉誠出版より刊行されている。 一方、前年度に京都の陽明文庫で調査した源氏物語古注釈書『長珊聞書』に関しては、その紙焼きコピー(全53冊、約3100丁分)を平成16年7月に入手し、いよいよこの未翻刻資料の翻刻に取り組みはじめた。 『長珊聞書』は、室町末期までの諸注を集成する大規模な注釈書である。また、これまでにほとんど内実が知られていない散佚した注釈書の説を引用しているなど、その内容もきわめて貴重なものである。したがって、なるべく早く翻刻を済ませ、公にしたいところであるが、その膨大な分量ゆえに、たった一人では(これ以外の研究にも取り組む予定があるため)少なくとも十年以上の時間がかかってしまうことが予想された。そこで、数年前から源氏物語古注釈などに関してしばしば情報交換をしてきた、早稲田大学大学院出身の方々と協力して翻刻に取り組むこととした。また、この貴重な注釈書の翻刻については、武蔵野書院から『源氏物語古註釈叢刊』というシリーズ(全10巻、刊行中)の続刊(仮称)として、全4分冊で刊行していただくよう担当者と交渉し、その刊行がみとめられた。 今年度の翻刻作業は、平成17年3月までに全体の4分の1に相当する「須磨」巻まで済ませる予定である。来年度は、その原稿をチェックして、平成17年夏には入稿、数度の校正を経て、できれば来年度中に全4分冊のうちの1冊めを刊行したいと考えている。また、それと並行して2冊めに相当する箇所の翻刻作業も進める予定である。
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Research Products
(2 results)