2003 Fiscal Year Annual Research Report
近世京都における公家文化サロンの文芸に関する総合的研究
Project/Area Number |
15720043
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
宮本 圭造 大阪学院大学, 国際学部, 講師 (70360253)
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Keywords | 公家文化 / 文芸 / 芸能 / 能 / 茶 / 和歌 / 連歌 / 浄瑠璃 |
Research Abstract |
江戸幕府の開府にともなって、政治の中心は江戸に移るが、その後も京都は文化の中心地としての地位を保っていた。そうした京文化の中核にあったのが、天皇や摂公家を中心とする公家文化であり、とりわけ江戸前期には復水尾や霊元といった歴代天皇が文芸を愛好したことから、天皇をめぐって一種の文化サロンと呼びうるような環境が形成されていた。天皇の御所だけではなく、摂公家門跡においても、同様の文化サロンが形成され、京文化を華やかに彩っていたが、本研究ではそうした公家文化サロンについて、主に五摂家のうち、近衛家と二條家とを取り上げ、その実態について考察した。 近衛家の資料としては、近衛尚嗣・基燕親子、そして基礎燕の妻である常子内親王の日記が挙げられるが、そこには和歌・連歌の記事はもとより、茶・能・浄瑠璃・絵画に関する記事が多く見られ、当時の公家社会ではこうした諸芸が一体のもとして享受されていた様子が窺える。注目されるのは、連歌師里村や絵師狩野といった本職の人々だけではなく、近衛家に仕える小姓や、そこに出入りする町人、あるいは医師・僧侶といった、重層的な担い手によって、この時代の公家文化が形作られていることで、同様の特徴は同じ五摂家二條家の日記『番所月次記』から窺われる二條家の文化サロンについても指摘できる。
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Research Products
(2 results)