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2005 Fiscal Year Annual Research Report

20世紀英語圏文学および諸芸術における抒情表象の変容とその日本への影響

Research Project

Project/Area Number 15720051
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

阿部 公彦  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (30242077)

Keywords抒情 / 英文学 / 詩 / スローモーション / 哀歌 / ナラティヴ / 速度
Research Abstract

本年度の研究においては「ナラティヴにおける速度」という問題に焦点をあて、とくに舞台芸術や言語作品で盛んに使用されるスローモーションの技法に関する詳細な分析を行った。スローモーションは単なる皮相な意味での「効果」のための技法ではなく、その背後にさまざまな文化的コノテーションを隠し持った非常に興味深い表象の方法であり、今年度の研究ではとくに英詩におけるスローモーションに的を絞って集中的に研究を行った。その成果は雑誌「英語青年」10月号から6回にわたって連載された「英詩のスローモーション」という一連の論考で公にされている。本連載では初回の「Ezra Poundのゆっくりな植物」にはじまり、ミルトン、ワーズワス、スティーヴンズ、シェイクスピア、ダンといった詩人の作品をとりあげ、英詩において「ゆっくりになる」ことが作品成立においてどのような意味を持っているかを吟味した。論点としては(1)「ゆっくり」とは心の優位を示す身振りである、(2)「ゆっくり」が抒情詩において重要なのは、抒情詩がその起源において死者の追悼という要素を強く持っているからである、(3)「ゆっくり」は「少ない形式」による豊饒の表現という詩ならではの逆説的な縛りと深く関係し、近代特有の富の概念の表現となっている、といったことがあげられる。こうした考察を通し、そもそも抒情表現とは、人間の文化的営為においていったいどのような意味を持つものなのか、という問題へのアプローチの大きな手がかりが得られたと考えられる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2006 2005

All Journal Article (6 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 「Wordsworthをゆっくりで読む」を読む2006

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 1月号

      Pages: 610-612, 643

  • [Journal Article] いかに木を語るか(アメリカで)2006

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 2月号

      Pages: 674-676, 705

  • [Journal Article] うっかりソネットを読んでみる2006

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 3月号

      Pages: 731-733, 768

  • [Journal Article] Ezra Poundのゆっくりな植物2005

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 10月号

      Pages: 402-404

  • [Journal Article] Miltonの'Lycidas'はどうゆっくりなのか2005

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 11月号

      Pages: 479-481

  • [Journal Article] Wordsworthをゆっくりで読む2005

    • Author(s)
      阿部公彦
    • Journal Title

      英語青年 12月号

      Pages: 543-545

  • [Book] 20世紀英語文学辞典2005

    • Author(s)
      海老根宏, 上田和夫, 渡辺利雄(編)
    • Total Pages
      1515
    • Publisher
      研究社

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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