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2005 Fiscal Year Annual Research Report

20世紀アメリカ文学/文化におけるパッシングの政治学

Research Project

Project/Area Number 15720053
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

新田 啓子  一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 助教授 (40323737)

Keywords大衆文化 / アメリカ合衆国 / 映画 / 黒人 / 女性 / 検閲 / パッシング / 武術
Research Abstract

当該研究の最終年にあたる平成17年度は、これまで研究してきた1920年代の芸術作品に関する研究をまとめる傍ら、現代大衆文化において価値転覆的な表象を担ってきた新たなパッシングのモデル(黒人文化にとどまらないもの)を広く分析し、業績にまとめた。
ここで主となった調査対象は、従来知られるパッシングの常套を反転する行為,すなわち、白人歌手が黒人になりすましてデビューする、異性愛芸術家が同性愛者になりすますことにより己の創作に価値を付与するといった、米国では1980年代初頭より顕著になった攪乱的パッシングの文化的背景である。具体的には、192,30年代の舞台芸術および映画産業におけるパッシング的演目の取り締まりを問題にしたが、これらは明治学院大学言語文化研究所における講演、東京大学・表象文化論学会におけるシンポジウムで公表された。同時に、アジア人男性のジェンダーと合衆国の軍事文化を含意したパッシング表象の分析も行った。これらは『言語文化』、『F-GENSジャーナル』、お茶の水女子大学COEシンポジウム、アメリカ比較文学会にて発表された。なお、主に20世紀ハリウッド映画を素材とした以上の研究実績の他、以下3点の個別的研究を行った。すなわち、異性装とセクシュアリティについての理論的考察(『現代思想』)、ある米国女性大衆歌手の演技についての考察(『ユリイカ』)、モダニズム作家・アーネスト・ヘミングウェイのジェンダー・人種表象(『ヘミングウェイ研究』)についての考察である。
こうして、文献資料のみならず図象や聴覚資料をも紹介しつつ、大衆文化の想像力にも広く影響を与えたと思われるパッシングの政治学を描くことで、本研究はひとまず終了された。これはまた、1920年代に始まる黒人文化が結晶化した一つの問題系が、現代の表現文化にいかに受け継がれてきたか、その道筋を検証する作業にもなった。

  • Research Products

    (5 results)

All 2006 2005

All Journal Article (5 results)

  • [Journal Article] The Revolution Was Not TelevisedマドンナのB面2006

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      ユリイカ 第38巻3号

      Pages: 83-91

  • [Journal Article] 武術映画における男性性の逸脱--性とエスニシティのきたす混乱2006

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      F-GENSジャーナル 第5号

      Pages: 43-49

  • [Journal Article] 近代大衆と人種のオブセッション--「黒さ」の表象に介入したものたち--2006

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      言語文化 第23号

      Pages: 3-18

  • [Journal Article] 遠いものを愛すること--親密圏とその外部--2005

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      現代思想 第33巻10号

      Pages: 92-106

  • [Journal Article] 日はまた昇るか?--性差混乱と持たぬ者たち--2005

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      ヘミングウェイ研究 第6巻

      Pages: 45-60

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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