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2004 Fiscal Year Annual Research Report

初期啓蒙主義詩学を創発するパラダイム-ドイツ詩学の位置価と模倣説の体系構築-

Research Project

Project/Area Number 15720057
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

福田 覚  大阪大学, 言語文化部, 助教授 (40252407)

Keywords啓蒙主義 / 学問論 / 詩学 / ズルツアー
Research Abstract

前年度は、2年目に予定していた医学において見られた想像力論を検討するなどしたので、本年度は、当初初年度に予定していた内容を中心に研究を進めた。詩学書を著している複数の人物の書物を研究対象としたが、中心的に取り上げたのはズルツァーの論考である。ズルツァーはスイス出身であるが、ベルリンのアカデミーを舞台に啓蒙主義時代の学の在り方を実践的に提示する著述を数多く残した。
1.ズルツァーには知の手引きと言える学問論の著作がある。版を重ねた成功した著作で、そこには18世紀半ばの学問文化が表現されている。学識が学問全体を分野別に通覧する形で整理されていて、従前の哲学から継承した百科全書の叙述スタイルを採っている。事実認識と理性認識の対比が記述を規定しており、歴史と哲学の二分法が変奏され反復されている。百科全書の叙述に分節を与えるものが記述対象なのか記述言語なのかという問題は、詩学史研究で模倣と想像の問題を論じる際の、素材である対象を模倣するのか、対象を超越した構造を模倣するのかという問題と、階梯を異にして連関する関係にある。
2.ズルツァー自身に学問横断的な知的関心の遍歴が認められる。初期の著作の中心的な主題は自然についての学であり、中期から後期にかけてはそれが人間についての学となる。この思考の圏域にヴォルフ哲学の影響が幅広く認められ、それがアカデミーにおけるズルツァーの位置を与えてもいる。
3.当初はギムナジウムの数学教員としてベルリンに移ったズルツァーであったが、ベルリンで美的な学問や技芸に一層親しむこととなり、それが美学事典に結実することになる。その歩みには、人文科学のパラダイムが詩学を創発する啓蒙主義時代の学問の形と、そのパラダイムから次の枠組みへと移行していくこの思想家の姿とが見て取れる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2004

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] エルンスト・アントン・ニコライの想像力論について2004

    • Author(s)
      福田 覚
    • Journal Title

      ドイツ啓蒙主義研究 4

      Pages: 1-26

  • [Journal Article] ゲーテとヘルムホルツ2004

    • Author(s)
      福田 覚
    • Journal Title

      モルフォロギア 26

      Pages: 43-72

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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