2004 Fiscal Year Annual Research Report
南フランスと伊ピエモンテ地域における「オクシタン語」話者の言語意識の編成
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15720092
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐野 直子 名古屋市立大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (30326160)
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Keywords | <一つの言語> / 書記法の分裂 / 少数言語のリテラシー / ヨーロッパ多言語主義政策 |
Research Abstract |
・2004年1月に行われた「多言語社会研究会大会」において、南フランスで1980年代に発展した「オクシタン語社会言語学」について、その目的、調査手法、その問題点、また現在のフランスにおける「社会の社会言語学化」と「オクシタン語社会言語学」との関係について発表を行った。それをもとに論文を投稿し、2004年9月に刊行された多言語社会研究会年報2号に掲載された。 ・2004年5月に、プロヴァンスの文学団体フェリブリージュの創設150周年記念と、フェリブリージュの創設者であるミストラルのノーベル賞受賞100周年記念大会がアヴィニヨンで開催され、そこで「日本におけるオック語研究(L' estudi de la lenga d' Oc al Japon)」について講演を行った。この講演の内容はフェリブリージュが刊行している雑誌に掲載される予定である。また、文学団体フェリブリージュのトップ(Capouli□)に対して、フェリブリージュのもつ「一つの言語」としてのオック語の意識、また書記法の分裂についてインタビューを行った。 ・2004年9月に、イタリア、ピエモンテ地方において、当地の文化団体Chambra d' Ocの協力を得て、オクシタン語の活動を当地で行っている約60人を対象にインタビュー調査を行った。今回の調査では、70年代から政治活動を行っていた活動家、当地の経済活動の中にオック語の存在やその意識を取り入れようとしているNPOや行政団体、90年代から当地でブームになったmusica occitana(伝統的な音楽を若者がロックに取り入れたもの)の活動を行っているミュージシャンなどに対して、オクシタン語でのインタビューを行った。この谷においては現在主に3つの表記法が存在しているが、どれを使用しているかでその言語に対する意識が異なる。そのため、インタビューでは、オクシタン語の日常的な使用だけでなく、特にこの言語を何のために、どのように書いているかについて、またその言語が地域において持つ意義などについて語っていただいた。 ・プロヴァンス地方における、「オック語」の書記法分裂問題とヨーロッパの多言語主義的政策との関係について、2005年3月の「名古屋多文化共生研究会にて発表を行った。
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