2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720093
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 紀夫 神戸市外国語大学, 外国語学部, 講師 (00347519)
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Keywords | A移動 / 再構築 / かき混ぜ / 束縛理論 / 生成統語論 |
Research Abstract |
平成15年度前半は研究全体の基礎段階と位置づけ、純粋に統語的な移動操作の必要性を確認する作業を行った。具体的には、慣用句名詞要素が主題役割を持ち得ない要素であるとの仮説を立て、その妥当性を吟味した。この仮説を検証する際には、述語との主題関係の存否が鍵となるので、この条件が問題となる現象を調査したところ、当初着目していた形容詞的受動構文だけでなく、いわゆる「弱い島」と呼ばれる構造からのwh-移動の可否も、有効な基準となることが分かった。調査の結果、いずれの現象に関しても慣用句名詞要素は主題役割を持つ項要素とは対照的な統語的特徴を持つことが判明し、上記の仮説に対する裏づけが得られた。同時にこのことは、当該要素の移動が主題関係の構築を伴わない、純粋に統語的な操作であることを示している。以上の考察結果を論文にまとめた。 平成15年度後半には、移動を受けた非主語項の再構築効果の検証に着手した。日本語の目的語かき混ぜ構文のうち、非定形補文内の目的語が主節主語の後ろに移動する現象をとり上げ、主として当該構文における束縛条件Cに係る再構築効果の分析を通して、非定形補文の統語構造が再構築の可能性に影響を与えるとの観察結果を得た。これによって、本研究の基となっている予備的研究で得られた「主題関係構築領域の不透明性」という一般化を、統語構造および移動現象全般に係る制約である位相不可侵性条件に還元して、反再構築効果に対してより一般性の高い説明を与えることが可能になった。以上の考察結果をアリゾナ大学で開催されたアメリカ西部言語学会で発表した。
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Research Products
(1 results)