2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720098
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学部, 講師 (90350404)
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Keywords | 音声学 / 談話研究 / 独語学 |
Research Abstract |
1.韻律的特徴と話者の心的意図を扱った先行研究収集の結果 先行研究によると、Kohler(1991)はアクセントがある音節における基本周波数(FO)のピーク値の位置によって異なる話者の意図が表されるとしている。また、ドイツ語の談話標識語äh, ä:hmの韻律的特徴について近年研究がなされ、基本周波数(FO)の動きと、持続時間が心的態度に大きく影響しているとされている。以上の先行研究を踏まえ、下記の音響分析を行った。 2.心態詞schon, ja, dennの発話文を用いた音響分析 (1)心態詞schonの音響分析 心態詞schonは平叙文において「既に、もう」という意味の時間的副詞の他に「確信」、「限定」、「反論」の意図を表す心態詞の機能があるとされる。分析の際はschonを含む短い文を、以上の異なるschonに合う文脈にそれぞれ埋め込んで発話したものを音響分析した。持続時間と基本周波数の結果から、「確信」と「時間」はschonにアクセントが置かれないが、持続時間は「確信」の方が短くなっていた。また、「限定」「反論」の場合、schonと同時に内容語にもアクセントが置かれていた。さらに、FOのピークがschonの後半部分に位置していた。この結果は1のピーク値の位置と関係しており、来年度以降データを増やしてより詳細な分析を進める必要がある。 (2)心態詞ja, dennの音響分析 心態詞jaは平叙文において、「共通に知る事柄の確認」「驚き」「相手に対する反論」の3つの機能があるとされている。また、dennは疑問文にのみ現れ、補足疑問文ではアクセントがある場合と無い場合がある。これを基に、音響分析では、それぞれの機能に合う文脈に当てはめた発話文の音響分析を行っている。この結果は、来年度初めに、引き続き分析作業を行い、まとめる予定である。
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