2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720102
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
櫻井 豪人 茨城大学, 人文学部, 助教授 (60334009)
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Keywords | 国語学 / 国語史 / 翻訳語 / 近代日本語 / 洋学資料 / 書誌学 / 辞書 / 単語集 |
Research Abstract |
本研究は、近代翻訳語の成立を明らかにする際によく参照される基礎的資料について、その編纂方法や成立事情を明らかにしつつ、そこに含まれている翻訳語の成立過程を明らかにしようとするものである。平成16年度の主な研究実績は以下の通り。 1.『改正増補蛮語箋』の「火器」部が杉田立卿等訳『海上砲術全書』(1843年成)をもとに編纂されていることを昨年度中に明らかにしたが、さらに『海上砲術全書』の本文異同や、それときわめて類似した別の訳本である『舶砲新篇』(藤井三郎訳、1847年成)と『ゼーアルチルレリー翻訳』(訳者・成立年未詳)との異同を調査し、その結果をもとに論文を執筆し発表した。 2.『類聚紅毛語訳』(『蛮語箋』)の「服飾」部の一部について、その成立のもととなった資料をつきとめた。 3.『類聚紅毛語訳』(『蛮語箋』)・『改正増補蛮語箋』・『英語箋』は、近代翻訳語研究において重要な基礎資料であるが、特に『改正増補蛮語箋』と『英語箋』はこれまで影印や索引が十分に整備されていなかった。そこで、上記三本の影印と索引の出版を計画した。また、影印化するのに適当な本を選定するため、改めて現存伝本の書誌調査を行ない、その上で複写を入手した。 4.上記目的のため、三本の対照表を作成したが、その際、特に困難であったのは「草」部と「木」部の植物名の同定作業と、地名の部の地名の同定作業であった。そのため、「草」部と「木」部については主要な同時代の本草書の影印や複写を可能な限り集め、その植物の実体と漢名・和名・蘭名・英名・学名との関係を探った。地名に関しては、様々な古地図や地理学書・歴史書をもとに、当時の地名と現代の地名との同定作業等をおこなった。 5.上記成果をもとに、対照表・索引・解題を作成・執筆した。年度末にほぼ完成したので、影印とともに出版する予定である。(平成17年5月刊行予定。)
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Research Products
(2 results)