2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本語分析技術の総合的向上と自己修正型教師の養成を目的とした訓練方法に関する研究
Project/Area Number |
15720122
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 和寛 信州大学, 人文学部, 講師 (70303485)
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Keywords | 日本語分析 / 日本語母語話者 / 例文作成 / 例文分析 / 類義語 / 副詞 / ストラテジー指導 |
Research Abstract |
今年度は、例文作成行動と例文分析行動に焦点を当て、非教師の日本語母語話者にとってストラテジー指導(教示と適用練習)による意識化と実際の運用が困難な分析行動を探った。日本人大学生10名を対象に、探索的な予備調査を個別に行い、調査での課題終了後には分析手順や教示の理解についての内省報告を被調査者に課してその聞き取りを行った。予備調査における被調査者への課題は類義副詞の分析で、その分析過程の発話を録音した発話データをプロトコル分析法で分析した。さらに実験後の内省報告から、教示と適用練習のわかりにくさや困難さ、例文作成を促されて日本語分析を行った際に被調査者が感じる困難さを中心に調べた。その結果、第一に適用練習において例文作成と例文分析が連動しにくいこと、第二に類義副詞の特徴の抽象化と例文作成が連動しにくいこと、第三に教示や分析課題で「例文」という用語により例文作成を求められると被調査者が『より適切で模範的な文を作らなければならない』と理解し緊張を感じ、自由な例文作成が制限されることが明らかとなった。以上のように教示や適用練習で被調査者がつまずく点が把握でき、教示や訓練の枠組みを作成する際の基礎資料が得られた。予備調査における被調査者の類義副詞分析の結果と照らし合わせる作業とともに来年度前半も継続し、実験で被験者に課す日本語分析課題の到達目標と評価基準を作成する。
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