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2003 Fiscal Year Annual Research Report

日本近世の芸能興行にみる巨大都市と地域社会についての研究

Research Project

Project/Area Number 15720147
Research InstitutionOchanomizu University

Principal Investigator

神田 由築  お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60320925)

Keywords芸能 / 芸能興行 / 近世 / 文化 / 侠客 / 都市 / 説教者 / 芝居
Research Abstract

本年度の成果は二つある。一つは、これまでの西国の芸能興行の研究に加え、東北地方の芸能興行や侠客などの実態を見ることができたことである。「芸能興行の世界」(『日本の時代史』)では、東北地方と西国の芸能興行および侠客の比較を試みた。その結果、(1)東北地方の侠客も西国のそれも、その本質や機能において多くの共通性がみられること、(2)侠客ネットワークは、芸能の「流通」を促進すると同時に、逆に「流通」の抑制装置としてはたらく危険性もあったこと、などを具体的な史料から確認した。もう一つは、巨大都市の芸能興行の事例として、大坂の宮地芝居における説教讃語座について、新たな課題を提起したことである。「都市文化と芸能興行」(『都市文化研究』)では、(1)説教讃語名代(興行権所有者)と説教讃語座(芸能者集団)との関係がいまだ不明確であること、(2)説教讃語座の芸能者は、すべてが説教者ではないこと、(3)安政期(1854-49)には大坂の12ヵ所の芝居に、それぞれ新たな名代が設置されたこと、(4)同時に、三井寺蝉丸宮が音曲芸系統の新たな芸能者を説教者として把握する動きをみせたこと、などを指摘した。これまでの研究では吉田伸之氏が、歌舞伎文化が「商品化」の進展度を強め伝統化していったのに対し、寄席が「より民衆的な文化の発信源」となったと評価している。しかし、大坂では、寄席や座敷を生業の場とする芸能者たちは、安政期には三井寺蝉丸宮に取り込まれて、むしろ「芸能の商品化」の新たな局面を演じつつあった。にもかかわらず、民衆に身近な話芸や音曲芸は、容易に「伝統文化」とはならず、芸能の「商品化」と「伝統化」とは、同じ歩調では進まなかった。なぜなら、これら身近で手軽な芸能の担い手には、別に「素人」芸能者がおり、芸能者集団と民衆(観客・聴衆)との間に層を形成していたからである。この「素人」芸能者こそ、十九世紀の大坂の芸能文化を知る鍵である。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 神田由築: "都市文化と芸能興行"都市文化研究. 3号(未刊行). (2004)

  • [Publications] 神田由築(藤田覚編): "『日本の時代史 17 近代の胎動』のうち「芸能興行の世界」"吉川弘文館. 282(33) (2003)

URL: 

Published: 2005-04-18   Modified: 2016-04-21  

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