2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720149
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
千葉 功 昭和女子大学, 人間文化学部, 講師 (50327954)
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Keywords | 同盟 / 協商 / 高平・ルート協定 / 桂太郎 / 日露戦争 |
Research Abstract |
まず、第二次桂内閣期、すなわち1908〜11年における日本の外交政策を多角的同盟・協商網の形成という観点から研究した。日露戦後の多角的同盟・協商網の形成に大きく寄与した前の第一次西園寺内閣と比較したとき、大きな違いは、日本人移民排斥を防ぐためにアメリカと包括的な協商を結ぶことを拒否するか否かであった。そして、桂内閣がアメリカと結んだ高平・ルート協定は、日本では「日米協商」として受け取られていたのである。焦点となったアメリカとの「協商」を軸に桂内閣の外交政策を分析することによって、多角的同盟・協商網における対米要因の意義を明らかにすることができた。現在、その成果を論文にまとめつつある状態である。 また、以上の日本外交の背後にある政策決定の特質に関しても研究を行った。その結果、初期議会には必ずしも帝国議会が政府の条約締結権に割り込む可能性がなくはなかったことや、桂内閣が日英同盟・日露協商などの政治的な同盟・協商条約を迅速に締結するために枢密院への諮詢なしに済ませる方策を考案したことなどを明らかにすることができた。これに関する研究は論文にまとめて、歴史雑誌(『歴史学研究』)に投稿した。 さらに、多角的同盟・協商網の形成に失敗した結果起きたのが、一九〇四〜五年の日露戦争であったが、現在の日露戦争観は日露戦争の実態からは乖離していることに気づいた。日露戦争観が日露戦後にどのように変化して現在に至ったのか。これも論文にまとめて、小風秀雅編『日本の時代史 23 アジアの帝国国家』(吉川弘文館)に寄稿した。
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Research Products
(1 results)