2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720153
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山崎 圭 国文学研究資料館, アーカイブズ研究系, 助手 (60311164)
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Keywords | 日本近世史 / 幕領研究 / 地域社会論 / 勘定所・代官 / 官僚制 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、以下の3点にまとめることができる。 1.幕府勘定所の役人(御勘定)が残した貴重な史料である『長坂氏記録』全36冊について、今年度で撮影を完全に終了し、その全体を見ることができるようになった。これにより日記が残された文化期から慶応期にかけての長坂氏の活動の様子を年次ごとにすべて把握することができた。さらにこの記録を書誌学的・史料学的に検討し、長坂氏の情報収集や記録管理のあり方などを調べているところである(長坂氏記録と一括で命名されているが、形態も作成経緯も多様であることが判明した)。このような『長坂氏記録』を理解するための基礎的作業がある程度進んできたので、現在は長坂氏の個々の活動内容に即して(勘定所諸書物調、荒地起返免直、代検見、国役普請見分、ほか)、分析を行っているところである。 2.その他の勘定所関係の史料の分析として国立公文書館所蔵「御国益御主法之留」の分析を行い、「文久期幕府経済政策と国益主法掛」という論文を作成した(まだ公表にはいたっていないので、至急公表したい)。ここでは、従来「絶対主義的」と理解されている国益主法掛の経済政策について、政策構想の内容よりも立案過程に着目して検討し直し、その再評価を試みた。 3.全国幕領の現地調査については、京都代官管下の丹波国山国地域(幕領と禁裏領が入り交じる)で史料調査を行った。ここには中世以来の史料が残されており重要であるが、全くの未整理史料が多いため調査が難航しており、今年度は調査としてはここが中心となった。関連して、明治初年にこの地域を管轄した久美浜代官所の調査も行った。
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Research Products
(1 results)