2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスイ製品の流通と交易形態に関する経済考古学的研究
Project/Area Number |
15720180
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 浩二 富山大学, 人文学部, 助教授 (10322108)
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Keywords | ヒスイ / 考古学 / 日本海交流史 |
Research Abstract |
本研究は、縄文から古墳時代までのヒスイ製品を、通史的な視点と統一的評価によって集成・分析し、日本列島における交易や物流の実態を明らかにすることを目的としている。 ヒスイ製品に関する従来の集成作業は、都道府県別、時代別に、不統一な方法で行われ、また形態分類や分布状況に重点がおかれていた。本研究では、そこに新たな視点、すなわち重量と色質という物質的価値等に関わる要素を加え、通史的かつ統一的な方法で集成と分析を試みた。とくに今年度は、縄文から弥生前半期にかけての集成作業をすすめるとともに、原産地の糸魚川周辺から遠く離れてヒスイ製品が大量に出土する北海道・青森地域が先史・古代の物流を解明する上で鍵を握ると考え、重点的に資料調査をすすめた。 その結果、1、北海道でのヒスイ製品は77遺跡、青森県でのそれは78遺跡で確認され、両地域ともに700点以上出土していることが明らかになった。この数値は、原産地域の糸魚川と富山県東部のデータを除けば、おそらく全国の出土数の半分を占めるものと思われる。2、いくら出土数が多くとも小玉のような極小軽量品ではヒスイ製品の経済的な意義を推し量ることはできない。そこで、遺跡ごとの総重量の違いがヒスイ製品の真価と流通ルートの解明に手がかりを与えると考え分析したところ、興味深い偏在性が明らかになった。すなわち、大重量を示すのは、津軽半島(亀ヶ岡)、下北半島(富ノ沢・上尾駮)、青森湾周辺(三内丸山)、積丹半島(大川)、石狩低地帯(美々4)等の遺跡であり、日本海ルートの他にも異なる交易経路があることが明らかになった。3、色質の分析は、比較に客観性をもたせるため、マンセル表示による標準色カードを用いて行った結果、白色緑色混交で不透明のものから緑色系統で透明なものへ徐々に変化する傾向が指摘できた。
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