2004 Fiscal Year Annual Research Report
出土木製品の用材選択に関する基礎研究 -建築部材を中心とした樹種と木取り-
Project/Area Number |
15720189
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
木沢 直子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
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Keywords | 九州地方 / 建築部材 / 樹種 / 広葉樹 / マツ科 / スギ |
Research Abstract |
本研究において調査対象地域とする西日本の建築部材について調査を行った。昨年度の近畿地方に引続き九州地方を中心に主に弥生時代に属する遺跡より出土した建築部材を抽出し、樹種と木取りの傾向を把握した。取り上げた資料は、現在までに(財)元興寺文化財研究所で行った樹種同定データのほか、報告書に掲載されたデータを中心とした。近畿地方の建築部材については、すでに報告したように弥生時代から古墳時代、古代へと広葉樹から針葉樹への移行が確認されている。今年度の調査の結果、九州地方では弥生時代に、近畿地方同様広葉樹を中心とした樹種利用が行われていたことが明らかとなった。一方でマツ科やスギなども比較的多く認められた点において近畿地方とは異なる傾向を示している。古墳時代、古代については現在も調査を継続中であり別稿にて報告する予定である。 なお、植生と用材の供給という視点から、製品と自然木の樹種傾向を比較検討すること目的とし、滋賀県赤野井浜遺跡(弥生時代中期)の自然流路より出土した自然木(約5,000点)についてサンプリングを行い樹種同定作業を進めている(サンプル提供については(財)滋賀県文化財協会のご協力を得た)。本件についても来年度は継続して調査を行い報告する予定である。
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