2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720201
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 真彦 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (80305664)
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Keywords | 特許 / 共同出願 / 距離 / 技術 / 知識 / 関西 |
Research Abstract |
技術的知識の創造が地理的にいかに行われているかを考察するため,技術的知識創造の結果を示す有力な指標である特許を調査し分析した。具体的には,『特許四季報』(IPB社編)および特許公報を用いて,関西(2府4県)において主たる研究開発活動を行う機械系大企業を対象に,1999年〜2001年において共同で特許出願した企業・研究機関を調査した。その結果,関西の機械系大企業が他の企業・研究機関と行った共同出願に占める関西の企業・研究機関の割合は,全特許に占める関西の出願者の割合と大きな差はないことが明らかとなった。これは,筆者が大阪府の中小企業を対象に行った同様の調査とは異なる結果であり,大企業の場合は中小企業に比べ,共同発明において相手との地理的近接の重要性が小さいことを示すものと考えられる。特に従業者1,000人以上の企業においてはその傾向が顕著である。 共同研究の相手となる企業は,トヨタ自動車,富士電機,関西電力,ソニー,三菱電機などであり,大学・研究機関としては,産業技術総合研究所,東北大学,地球環境産業技術研究機構が多く,それにつづくのが,物質・材料研究機構,理化学研究所などである(件数ベース)。このことからも特許において量的シェアとしては大きい大企業や大規模高等研究機関の共同研究において地理的距離の重要性というのは小さいといえよう。 ただし,京都に本社を持つ精密機械・電気機械メーカーに関しては関西の相手との共同出願の比率が高く,特に非上場の中小企業や地元の大学・研究機関との共同出願が多く見られる。いわゆる「京都系ハイテク企業」は地元との共同研究ネットワークを重視していることが明らかとなった。また,共同出願相手を,機械メーカー,素材系サプライヤー,ユーザー,研究機関・事業所サービス業に分類すると,ユーザーにおいて関西地域内の比率が高かいという結果となった。
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