2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本のマスメディアにおけるオセアニア表象の文化人類学的研究
Project/Area Number |
15720207
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白川 千尋 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60319994)
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Keywords | マスメディア / オセアニア / メラネシア / 異文化表象 / 文化人類学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、本年度も戦後日本のマスメディアにおけるオセアニア表象、とりわけメラネシア地域に関する異文化表象を中心的な対象としながら、主に以下のような研究活動を行った。 1.戦後に放映ないし公刊されたメラネシアを取り上げたテレビ番組と図書に関する網羅的な情報の収集。 2.テレビ黎明期から1980年代頃までに放送された『すばらしい世界旅行』を中心とする番組VTRの視聴分析を踏まえた、テレビ番組におけるメラネシア表象のあり方の検討。 3.2.で検討の対象となったテレビ番組の制作過程に対する文化人類学者の関与のあり方の検討。 その結果、主に以下のような知見を得た。 1.メラネシアを取り上げたテレビ番組と図書に関する網羅的な情報の収集はほぼ終えることができたが、いずれの媒体においてもニューギニア(イリアンジャヤおよびパプアニューギニア)の集落部を取り上げたものが圧倒的に多く、逆に都市部を取り上げたものがきわめて少ないことが明らかになった。 2.図書におけるメラネシア表象のあり方に関する分析作業は未だ途上であるが、テレビ番組に関しては「秘境」や「未開」などのイメージを喚起するような表象が顕著であり、そうした表象の直接的な起源は、テレビ黎明期から1980年代頃にかけて、メラネシアを取り上げた番組をとりわけ多く放映した『すばらしい世界旅行』などのドキュメンタリー番組に遡ることができることが分かった。 3.近年テレビ番組の制作過程に文化人類学者が関与することはきわめて稀になっているが、これとは対照的に、テレビ黎明期から1980年代頃までの時期に放映された『すばらしい世界旅行』などのドキュメンタリー番組には、制作過程に文化人類学者が直接的、あるいは間接的に関与しているものが少なからずあることが分かった。 なお、以上に挙げたもののうち、1.と2.に関連する知見については、日本文化人類学会の学会誌『文化人類学』に発表した学術論文(次頁11.参照)のなかで詳述した。
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Research Products
(1 results)