2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナバホ・インディアン社会における近代的な女性指導者像の創出
Project/Area Number |
15720214
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
谷本 和子 関西外国語大学, 国際言語学部, 助教授 (40269816)
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Keywords | ナバホ / アメリカ先住民 / 女性指導者 / ミス・ナバホ・ネイション / 文化人類学 / インディアン / ページェント |
Research Abstract |
本年度は、アメリカ合衆国南西部に位置するナバホ・インディアン居留地にて現地調査によるデータ収集を重点的にするとともに、文献の検索・研究を行った。現地調査では、(1)1960年代から1970年代にミス・ナバホ・ネイションになった女性たちへの個別インタビュー、(2)2003年度のミス・ナバホ・ネイション・ページェントへの参与観察、そして(3)これまでにミス・ナバホ・ネイションの活動に関わった個々人へのインタビューを実施した。 (1)については、ミス・ナバホ・ネイション経験者を個別に訪問し、ミス・ナバホ・ネイションになろうとした動機や当時のページュントの様子、ミス・ナバホ・ネイションとして活動した内容などについて調査した。(2)では、関連部署からの許可を得て準備段階からの参与観察を行い、現在の女性指導者像と女性指導者が選ばれていく過程についての調査と、その様子を映像メディアに記録した。(3)については、これまでのミス・ナバホの活動に関わった人々へのインタビューを行い、ナバホ・インディアンにとってミス・ナバホが果たす役割を中心に、それぞれの見解を記録した。 本年度の調査では、1970年代初期までのミス・ナバホ・ネイションをめぐる状況が明らかとなった。それまでのミス・ナバホ・ネイションは、自宅や学校寮からナバホ自治政府の要請に応じて、行事に参加する形式となっていたので、任期中の私的自由度は大きかった。しかし、1970年代初めにミス・ナバホ・ネイション用の住居が設置され、トライバル・ヘッドクオーターに常駐するようになってからは、自治政府の要請する活動への参加が必須となり、ミス・ナバホ・ネイションは公的役割とみなされるようになっていった。これと同時期の1972年には、ミス・ナバホ・ネイションの任期終了者に奨学金が支払われるようトライブ予算が配分されるようになった。以上より、当時のナバホ政府がミス・ナバホ・ネイションの公的地位の拡大を、積極的に支持していたことをうかがい知ることができる。
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