2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720215
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
青木 隆浩 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (70353373)
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Keywords | 商家経営 / 清酒製造業 / 南部杜氏 / 越後杜氏 / 醤油醸造業 |
Research Abstract |
まず清酒製造業については,昨年度に引き続き新潟県立文書館にて新潟県酒造従業員組合連合会関連史料を閲覧,加工整理した。これによって,昭和10年代における越後杜氏の出稼ぎ先や酒造講習会の日程と内容,組合決算などについて,細かいデータを得ることができた。また,岩手県庁にて,南部杜氏を含めた出稼労働者全体の実態調査報告書を複写した。これによって,南部杜氏に関する昭和60年代以降の出身市町村や就業先,職業紹介所の加入状況などについて詳しいデータを得ることができた。南部杜氏は,昭和40年代以降に越後杜氏にかわって関東地方の酒造労働力を支えるようになった。このため,越後杜氏と南部杜氏の比較研究は,関東地方の酒造経営を分析する上で重要な意味を持つ。 個別経営については,入間市博物館所蔵の「友野家文書」の閲覧,加工整理に力を入れた。「友野家文書」は酒造経営と組合通信をおもとする江戸時代後期から昭和20年代までの約1300点が残されている。これによって,今年度はおもに配給制度の歴史的変化について調査した。その結果,酒造家の配給先が月によって変化することや,農村の行事に合わせて配給が実施されていたことなどを知ることができた。 醤油醸造業については,まず埼玉県醤油工業協同組合にて,JAS規格の問題や協同組合の現状について聞き取り調査を行うとともに,同業組合から統制組合を経て協同組合へと再編成されるときの史料を複写させていただいた。ここで戦時・戦後の組合史料を得られたため,ヤマサ醤油株式会社でも戦時・戦後の組合史料をもとに,生産・販売統制の実態について調査を行った。
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