2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国における量刑基準に関する一考察-死刑判決の中・台・日三国間比較-
Project/Area Number |
15730008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇田川 幸則 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 助教授 (80298835)
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Keywords | 中国 / 死刑 / 量刑 |
Research Abstract |
本研究は、中国の死刑判決を素材として、中国において、畢竟いかなる量刑基準が用いられて量刑が決定されているのか?という問題を解明することを最大の課題として取り組んできた。死刑判決は中国の公式裁判例を用いることとし、『中華人民共和国最高人民法院公報』掲載の死刑判決51件、同じく公式裁判例集である『人民法院安例選集』掲載の死刑判決86件、計137件である。当初、人民日報、法制日報等に掲載された死刑判決をも利用する予定であったが、当該事例に関する情報があまりにも少なすぎ、分析に耐えないと判断したため、これを用いることを断念した。 これらの判決における量刑基準としては、(1)犯罪事実に関する事項、(2)被告人に関する事項に分けることができる。前者には「数額特別巨大」「情節特別厳重」「情節特別悪劣」「後果厳重(結果が深刻・重大である)」「社会危害性極大」「給国家造成重大経済損失(国に対して重大な経済的損失をもたらす)」「厳重危害社会主義経済秩序(社会主義経済秩序に重大な危害をもたらす)」が挙げられている。また、後者には、組織的犯罪の場合には「主犯」「作用首要」、前科があるないしは常習犯の場合には「悪習很深」、被告人が悔い改めていない「不思悔改」、殺人事件の場合では「手段悪劣」「手段残忍」、これらが挙げられている。しかし、これらのいずれもが法の条文上の文言と全く同一であり、本研究が当初目指した「量刑基準の解明」には失敗したと言わざるを得ない。 ただし、旧刑法が現行刑法に改正された1996年を境にいて、公表された死刑判決が急激に減少していること、経済犯への死刑適用例が公表されなくなった、高級公務員の貪汚事件が多数公表されるようになった、といった、思わぬ副産物を得た。今後は、同一の罪に関する案例、とりわけ経済事犯並びに贈収賄事犯に関する裁判例の網羅的収集・分析から、初期の研究目標の達成を目指したい。
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Research Products
(4 results)