2004 Fiscal Year Annual Research Report
不確実な条件下での行政決定に対する法的コントロールの基礎的かつ実態的研究
Project/Area Number |
15730009
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
下山 憲治 国立大学法人福島大学, 行政社会学類, 助教授 (00261719)
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Keywords | 不確実性 / 意思決定 / リスク管理 / リスク分析 / 科学社会 / 公法学 |
Research Abstract |
本年度は、主として、不確実性の条件における行政決定にかかわる組織・手続法的変容ないし再構成に関する構造的分析をEU法およびドイツ法を素材として、資料収集や研究者との意見交換・ヒアリングによって行った。その結果、手続法的側面については、EU法におけるいわゆる「予防原則」との関係で証拠提出責任・科学性原則などの分析を進め、他方で、ドイツ法における「事前配慮原則」と過剰介入・過少介入禁止原則の関係で、措置の一時性や一貫性原則、そして、一定サイクルでの措置の検証という手続原則の法的分析を進め、その成果を「不確実性の条件下における行政決定の法的制御に関する一考察-ドイツにおけるリスク制御の理論的分析を中心にして-」と題した論考にまとめることができた。 不確実性の条件下における行政決定にかかわる組織ないし機能に関し、科学的評価ないし客観的結果と政治的・経済的評価ないし価値判断との分離については、たとえば、EUレベルでの科学と政治の分離、そしてそれを具体化するリスクアセスメントとリスク管理の機能分離が、機能に限らず、組織上も分離をすることになった根拠・理由を追及するとともに、それが、ドイツにおける食品安全にかかわる新組織やわが国のリスク管理とリスクアセスメントの分離にも大きな影響を与えていることを解明した。その際のキーワードが消費者の信頼回復・維持とそれを導く透明性原則という二つであることもわかった。この点については、来年度の上半期に論文としてまとめて公表する予定である。 他方で、主として、食品法を中心とした実体法に関連する資料収集もしたが、ドイツにおける連邦法の改正作業が遅れ、本格的には来年度に実態調査をすることとせざるを得なかった。この点は、EU法の関係も密接に出てくるので詳細な検討を要するところである。それゆえ、この点は、来年度も継続して資料収集と調査を進めることになる。
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Research Products
(1 results)