2003 Fiscal Year Annual Research Report
ガバナンス・システムに関する法制度の変更が会社の業積に与える影響の分析
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15730051
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川口 幸美 長崎大学, 経済学部, 助教授 (50315214)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 委員会等設置会社 / 社外取締役 |
Research Abstract |
新聞報道等により、監査役会制度を廃止し、委員会等設置会社制度を採用した企業(2003年度8月末において67社)に対し、その採用理由・時期・構成員の人数の変化等について調査を行った。またいくつかの採用企業に協力を求め、ヒアリング調査や各企業のホームページ、EDINETにより取得した有価証券報吉書、学術雑誌の調査結果の内容等も利用して、実態の把握に努めた。 アンケートの結果からは、多くの企業にとっては、平成13年の議員立法による監査役設置会社における社外監査役の強化が求められる平成18年の定時株主総会がガバナンス・システムの選択を迫られる時期であると考えら、現在は様子を見ている状況であることが窺える。また、すでに指摘されているところであるが、実際に現在、委員会等設置会社に移行した企業の傾向を見ると、次の4点が特徴として確認できる。(1)海外の証券取引所に上場するなど、外国人株主の所有割合が高い企業が多い。(2)法改正以前から、コーポレート・ガバナンスの改革に積極的に取り組み、業務執行と監督の分離を実現している企業が採用しているケースが多い。特に、グループ企業にこの傾向が顕著に見られる。(3)会社再建のために、支援者間の調整を図り、経営者を監督する手段として、委員会等設置会社を採用するケースもある。 予定では、平成16年度は委員会等設置会社を採用した企業の株価の動きを、採用した日から前後1年間に亘り、同時期のTOPIXを基準に統計分析を行うはずであったが、新制度は手続き上、定款変更のための株主総会の承認が必要であり、採用時期が平成15年6(あるいは12月)の株主総会の時期に集中しているため、1年間の期間を経ておらず、分析作業は未だ完了していない。今後も、採用企業数は増加するはずであり、それらを追跡調査すると共に、平成16年の6月(あるいは12月)をまって、株価の動きの分析作業を行うつもりである。
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